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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百二幕 「三人寄ればって言うけどダメなときはやっぱりダメ」
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は隣の部屋を使う!本部防衛メンバーは別名あるまで別室待機!以上、急いで動け!」
「はい!!」
こうして再び事態は動きだし――そして、佐藤さんはどこか心許ない足取りで隣の部屋へ歩いていく。
「・・・・・・佐藤さん!」
「――え、あ・・・何?織斑くん」
誤魔化すような笑みでその場を濁そうとする佐藤さん。その背中に声をかけたのは、彼女の様子がどうしても気になった一夏だった。
今の佐藤さんは普段の普通な佐藤さんとは明らかに違う。先ほど声をかけた時も、一瞬自分に向けられたものだと気付いていなかった。ベルーナ誘拐の件がショックだったのだろうか、と一夏は推測する。
かくいう一夏も、ベルーナの事が気になる。誘拐というワードが否応なしにかこの忌まわしい経験を思い出させるからだ。忘れもしない、第2回モンドグロッソの屈辱を。しかし、それの対応にジョウと佐藤さんが当たるならばと何とか心を落ち着かせたのだ。
その佐藤さんがあの調子では、一夏は佐藤さん自身まで心配になってしまう。だからこそ、彼女にはしっかりしていて欲しい。
「千冬姉は出来ない人にやれなんて言わない。それに、そっちにはジョウさんもいるし束さんもいるんだ。何とかなるさ!」
「・・・そだね。はぁ・・・・・・ごめんね?心配かけちゃったみたいで」
「いや、気にしなくていいよ。友達だろ?」
無言で会釈した佐藤さんは、山田先生と一緒に部屋の外へと出て行った。
しおらしい佐藤さんというのは・・・新鮮だが違和感がある。次に顔を合わせた時はいつもの普通な佐藤さんであって欲しい。そう思っての激励だったが、果たして励ませたのだろうか――確認のしようがない事を考えても仕方がないと思った一夏は、自分の心配をすることにした。もう既に、一度しくじっている。2度目は起こしたくない。
「・・・・・・アンタまた佐藤さんを口説こうと」
「してないっ!!気になったから声かけただけだって!」
鈴の嫉妬と怨念が籠った視線に必死で首を横に振る一夏だった。
= =
第十二使徒レリエル。
未だにどういう存在なのかはよく覚えていない。ただ、確か地面に映っている影が底なし沼のようになっており、一度沈むと出て来れない――といった具合の存在だったと思う。その存在に関して、目の前で束博士が現場の人間と通信しつつ、つらつら解説していた。
「空中に浮かぶあの球は影を逆転させたただの像、ということらしいね〜」
「影を逆転?」
「光を遮るものがあってこそ影が生まれるのが普通だよね。でもあれはその因果が逆転してて、本来影だけの存在であるという矛盾を解消するようにあの球体が見えている。う〜ん、意図的にやってるんだとしたらすごく興味深いね。じっくりデータ採取できないのが残念でならないよ
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