第一章
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だが、隊長格が立ち塞がるように腕を広げた。
「待て! 近寄るな!」
「武蔵総長兼生徒会長が三河主君の娘に挨拶に来ただけだよ。これからよろしくってね」
葵・トーリの横にいた葵・ユーキが声を上げた。
役立たず、無能とは言われても権限は存在する。
……巧い牽制だが、どうもできないぞ。どうするつもりだ。葵・ユーキ。
「そうそう。ほんの少しの時間でいいんだ。道、空けてくれるかな?」
葵達の背後にいたネシンバラが道を空けろと声を上げる。
その声に応じるように、ウルキアガとノリキが隊員達に割って入る。
ニ人は左右に広げ、道を造る。
葵達と私達の距離はおおよそ十メートルを切った。
そして、葵・トーリがこちらに手を伸ばしたとき。
「む」
葵・ユーキが動いた。
瞬間、彼を除いた四人が空から降ってきた影によって一斉に叩き潰された。
それは、K.P.A.Italiaの隊員たちであった。
身につけた軽装鎧や、頭部防具の奥に見える顔は、誰も彼も二十代や三十代に見える。
自分達とは体格も違えば、腕や足の運びが違う。
巨漢であり、魔神族並の筋力を持つウルキアガですら、四人がかりで関節を押さえ込まれ身動きが取れない状態だが、動けたのは縛めを外したノリキと拘束を回避した葵・ユーキだ。
ノリキは、左右の腕に鳥居型の紋章を表示し、K.P.A.Italiaの隊長格に打撃を叩き込んでいた。
一方、葵・ユーキは地上に降りた隊員達の拘束を避けている。
「……軽い打撃だな」
一言と共に、ノリキの身体がくの字に折れた。
「後は、一人か。――聖連の指示により、場の権限を移譲して貰いたい!」
「ホライゾンを連れて行くつもりだな」
葵・ユーキは数名の隊員相手に逃げながら隊長格の男に言った。
「それ以上、動くな!」
葵・トーリを押さえていた隊員の内、一人が叫んだ。
彼の右腕を捕らえていた隊員だ。彼はその腕を背中側に曲げ、軋ませ、押していく。
肩を抜く気だろう。動きに躊躇いはなく、一気に行くつもりだ。
「ユーキ……」
「正純……」
それ以上の抵抗は止めろ。
でないと、弟達がひどい目にあうぞ。
……目で伝えたつもりだ。言葉では間に合わない。
「――降参」
彼は両手を上げて降参のポーズを取った。
もう、この場の権限は聖連の預りになっている。
これ以上の騒ぎは、聖連の指示に対して極東が従わなかったという結果に至ってしまう。
それが、葵・ユーキにも分かったのだろう。
聖連側の動くな、という命令に、素直に従った。
現状では違反はない、と思う。
「無意味なことだと判断出来ます」
ホライゾンの声で、静寂が訪れた。
葵・ユーキを押さえようとしていた隊員も動き緩やかになり、彼
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