第一章
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な」
それに、
「なんだか変だ」
闇の中ただ一つの焔が不安を煽るように燃えていた。
●
『今日、先生は、地脈炉が良い感じに暴走しつつある三河に来ていまーす』
武蔵の艦上、宙に出現した表示枠《サインフレーム》から元信の嬉しそうな顔と声が発生した。
松平元信が用意した花火とは、地脈炉の暴走による、三河消失。
「通し道歌が、末世をかけたテストに出る?」
葵・ユーキは一人、松平元信の言葉を咀嚼する。
松平元信の愚行を止めるために、三征西班牙《トレスエスパニア》所属、第一特務の立花宗茂が現場にいた。
松平元信と立花宗茂の問答は続いている。
『危機って、面白いよね?』
――元信は言った。
考えることは面白い。
考えないと死んだり、滅びたりする。
それを解決するために考えろ。
もっとも面白い危機。
それは、
『末世だ。――この世の滅び。それは、全世界の生徒に対する最高のエンターテイメントだよ』
末世。松平元信は、全世界の人間を生徒として、彼自身が先生であるように。
全世界に向けて課題を設問する。
末世を覆せるかもしれないご褒美。
『大罪武装《ロイズモイ・オプロ》を全て手に入れたならば、――その者は、末世を左右出来る力を手に入れる』
●
小難しい話は置いといて、話を整理しよう。
大罪武装は九つある。
全竜《リヴァイアサン》は既に存在しており、大罪武装はその材料として人間を使用している。
大罪武装は人間の感情を部品としている。
自動人形、P-01S。ホライゾン・アリアダストの魂が、"嫉妬"の大罪武装"焦がれの全域《オロス・フトノース》"そのものである。
九つ目の大罪武装の在処は、葵・トーリの想い人であるホライゾン・アリアダストにある。
そして、極東に大罪武装はあってはならない。
紡ぎ出される答えは簡単だ。
ホライゾン・アリアダストが大罪武装ならば、それを処分する大義名分がたった今できた。
だから、
「――愚弟!?」
葵・トーリが、彼なりの全力で走りだしていた。
皆が聞こえた事実に息を飲み、顔を見合わせていた中で、それにいち早く気付いて動いたのが葵・トーリだった。
続いて一瞬遅れて気付く者がいた。
「愚弟! ユーキ! アンタ達どこ行くの?!」
葵・トーリの後を追う葵・ユーキ。
葵・ユーキは一瞬だけ、行動が遅れた事に激しく憤怒していた。
馬鹿な弟の癖に、行動力はある。
葵・ユーキは、色々と考えすぎていた。
松平元信の考えを読もうとしたり、今後の事を考えてしまったり。
彼は、愚直な行動ができる弟が少し羨ましかった。
ただ、惚れた女の為に。
わずかに迷ったが、後悔通りを弟は通り抜ける為に走る。
その後ろ、弟の背を見
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