第一章
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、ってもういない?!」
「ユーキさん何気に足速いですからねー」
「まあ、アレもトーリの仕込みだろうさね。さっさと図書室入ろうか……」
女の子の格好してましたけど、誰も言わないので無視していいんですよね。
ユーキ君が女装するとは、アデーレ達も考えたくないんでしょう。
ええ、そこにいるはずのない喜美がいたと一瞬驚きましたけど、鈴さんのおかげですね。
●
校舎内から爆発にしか聞こえない音が響いている。
……浅間や、ナイトが暴れてやがるなあ。
シロジロあたりが、また頭を悩ますだろう。また身内の恥で金が掛かるとか思ってるんだろうが、まあ何だかんだ言って対処してくれるはずだ。
そろそろ潮時だろう。
「一体何の騒ぎだこれはあ!」
窓の外、教導院の外枠に観客が見える。
それに、武蔵王であるヨシナオが現れたのだ。
怒られて終わるか、逃げた後怒られて終わるか。
どちらにしても怒られるが、なんとかなるだろう。
これは告白前夜祭。
明日からは、色々と変化があるだろうが、やっぱりいつもどおりになるはずだ。
「あー、あ、ヨシナオ王が鈴を泣かしたか……。トーリも気付いて何か叫んでるし、そろそろ幽霊探しはおしまいだな」
しかし、不意に鈴がその泣き声を止めた。
誰もがえ? と鈴に視線を向ける。
鈴が開いていた口を緩やかに閉じた。
「何だ?」
鈴が両の耳に手を当てている。
何かを聞いている?
「おい、麻呂どけよ! あと、伏せろ! ベルさんの邪魔だ!」
トーリの指示に、ヨシナオは戸惑ったが、しかし皆と同様に身を低くした。
「トーリめ、ポイント稼ぎか?」
いや、鈴の耳に絶対の信頼を預けているトーリが彼女の行動を邪魔しないようにしただけだ。
鈴は頬の涙を拭いもせず、左右に耳を傾けた。
そして、
「あっちか……」
開けた窓から左舷方向を見る。
そちらは東側で、そこにあるのは各務原の山渓だ。
夜の今、あるのは漆黒の底無い空間だ。
山渓の向こう、南側には三河の町があるはずだが、武蔵からは山が陰になって町の光を見ることは出来無い。
だが、不意に闇が壊れた。
暗がりの中、照らす光が生まれた。
発火の光。炎だ。
各務原の山、峰の上に、焔の形が一つ生まれたのだ。
遅れて、遠雷に似た音が聞こえてきた。
それは、
「爆発音……。しかも、デカイぞ?!」
事故か、事件か。
それとも――。
●
幽霊探し解散前に、本物の幽霊が出たことによって、大騒ぎになった。
それによって、俺の女装の印象が薄れた気がした。
なので、女装を解除して元のいつもどおりの格好に戻った。
「何? ユーキ。もう私の真似は終わりなの?」
「ああ、あまり引き伸ばしても冷めるし
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