第一章
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正純は見ていなかったが、本多・正信は若干、肩を落としていた。
――葵・トーリが殺した、ホライゾン・アリアダスト。
それが、明日で丁度十年。
正純は、どうして葵・トーリ達が笑っていられるのか、それが分からなかった。
●
夜、武蔵アリアダスト教導院の昇降口に集まった人影の中、一人立っているのはシロジロだ。
「トーリとユーキは来てないが、間違いなく無駄金使って何か仕込んでいる。ユーキも結局は見つからなかったが、トーリに加担しているだろう。こちらとしてはその意を汲んで、"幽霊探し"に行く前に怪談などしておこうか。無料で」
「シロ君、ユーキ君が東君の情報買ってくれて、大人しくしてるって言っときながら品川商工会付近で目撃情報あったけど結局見つからなかったからって"幽霊探し"に加担してると思うのはどうかと思うけど……」
ハイディが眉尻を下げて言う横、浅間が手を挙げた。
「結局、ユーキ君は見つからなかったんですね。点蔵君なんか普通にココに来ているって言うのに……」
「な、何で御座るか! その視線!」
皆の視線が点蔵に集まった。
……忍者の癖に全く忍んでないよね。
……自己主張の強い忍者もいたもんさね。
皆の内からいくつかの声が聞こえて点蔵は崩れ落ちた。
「点蔵君は置いておいて。実は、……ちょっと皆に気をつけて欲しいんです」
「何を?」
ハイディの問に、浅間がうん、と頷いた。
「怪異で、最近、"公主隠し"の神隠しが起きているの」
●
浅間が告げた"公主隠し"に対して皆は沈黙した。
だが、少しの間を置いて声を発した者がいる。ネシンバラだ。
「――まあ、基本的には、昔の都市伝説だよね。最近になって復活してきてるみたいだけど。僕達が小さい頃から三河、武蔵でも幾度かあった、もしくはあったとされるという噂が都市伝説としてあるもんだから、作家志望としてはネタ用に個人的に調べてきたんだ」
ネシンバラは展開した術式鍵盤《キーボード》を叩いている。
幾つもの表示枠《サインフレーム》を宙に作り、
「調べるとわかるんだけど、意外と昔のメジャーでさ、図書館にも昔の子供向けの本にもあるね。"公主隠し"じゃないけど、"公主様"ってのが出てくるのが、三十年くらい前から幾つかあった」
「ネシンバラ、無料で説明出来るか?」
シロジロの促しに、ネシンバラは頷いた。
「これとか解りやすいかな。公主様という人影が、子供を攫ったり、町に落書きを残すんだって」
幾つかの表示枠を皆に見せるように反転表示して、
「極東では、最近だと去年に一件起きてる。……皆は知ってると思うけど。本多君が武蔵に来たのは、母親が"公主隠し"に遭ったからだって」
皆が静まる中、喜美が騒いでいたが、その横に座っ
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