第一章
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は緩やかに拘束された。
私がホライゾンに貸した本は、指導者や政治家の言動などの示したものだ。
それを彼女は読み切った。
そして、学んだのだ。
指導者や政治家がこのような場合どのような対処をするのかを。
「つまり、本に書いてあるようにすれば宜しいのですね。過去のパターンに学んで」
彼女は、本に書いてある最善の判断を行うつもりだ。
「率直に申しまして、指導者としてホライゾンが急ぎ確保されればこの騒動は生じなかったはずです。このような騒動で、ことを長引かせるのが得策とは思えませんが?」
「では、この騒動は何故起きた? この男達と知り合いではないのか?」
隊長がホライゾンに聞いた。
ホライゾンが答える前に、葵・ユーキが口を挟んだ。
「俺達はただ、三河君主の娘に媚を売りに来ただけさ。将来の為に顔を覚えてもらえれば有難い」
「ふん。そう言う事か……」
私の父を同じような事を言った。
……彼女の将来など、あると言えるのか?!
「今のチャンスを逃すと、今後は聖連を通さないといけなくなるからな……まあ、無理なら諦めるしかないか……」
「――Tes.」
隊長が、葵・ユーキに応じてホライゾンを連れて行くよう指示した。
媚び売りのチャンスを与えた。だから、これ以上騒ぐな。
そういった感情がこもった返答に聞こえた。
だが、地面に押さえつけられた葵・トーリが、
「ホライゾン……!」
抵抗して、頭をあげようとしていた。
それを、隊員達が慌てて押さえつける。
「聞けよ、ホライゾン。俺は――」
そこまで葵・トーリが言ったとき、私の視界の端でK.P.A.Italiaの隊員が舌打ちと共に右手を掲げた。
彼は、指を構えて鳴らそうとしていた。
それが鳴らされたら、葵・トーリは――。
それをされた後、葵・ユーキは――。
……まずいぞ!
葵・トーリが傷付けられたら、確実に、葵・ユーキは動くだろう。
最悪、この場で抗争が起こる。
思った瞬間。父のささやきが聞こえた。
「知っているか。ホライゾン・アリアダストが元信公に轢かれた原因は、一人の少年との喧嘩だったそうだ。喧嘩から逃げ出した彼女が轢かれ、少年はそれを救おうとして救えなかった。その少年が誰なのか解かるか?」
ああ、解るとも。
今ならば解る。
その少年が、今ここに来てまた届かない事も。
今、葵・トーリが肩を抜かれれば彼の負傷になる。
そして、葵・ユーキは動くだろう。
それは、問題を生むことになる。
聖連の決定に対して、極東側が逆らい、さらに抗争する証拠《きっかけ》となる。
そうなれば、聖連と極東の争いになる。
「正純……」
葵・ユーキの声が耳に届く。
彼の目。
弟が目の前で傷付けられたら、流石に黙って
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