第三章
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ムコーナーでも百貨店でも何でもあるだろうと。彼女はこう言っているのである。やはり高校生らしい言葉であった。
「そうでしょ」
「で、何するんだよ」
「時間はあるしさ」
真里は言う。
「何だっていいんじゃない?行ってから考えましょうよ」
「わかったよ。それじゃあまずは行って」
「ええ」
「それからだな。けれどよ」
浩二はまた述べた。
「最初にやることやろうぜ。ミットを買ってよ」
「最初に買うのね」
「それからだと忘れないだろ。どうだよ、それで」
「じゃあ最初にね」
彼の言葉に頷く。それで決まりであった。
「ああ、じゃあ行くか」
丁度電車が来た。緑色の奇麗な電車であった。二人はそれに乗り込んでいく。そして隣町のその百貨店に向かうのであった。
百貨店の中は平日とはいえ夕方なので結構人がいた。見れば学生服の者も目立つ。
「何だよ、カップルが多いな」
浩二は彼等を見てふと思った。
「ここをデートスポットにしてるのかよ」
「そうじゃないの?ほら」
横にいた真里が前を指差してきた。
「あそこにさ。見てよ」
「あっ?ああ」
見ればそこには浩二と真里の学校の生徒もいた。それもやはりカップルであった。
「あれは一年かな」
「多分ね。どうやらあの娘達もここで」
「見ない顔だな。どこのクラスなんだか」
「さあ。けれどそれはどうでもいいじゃない」
真里は言う。
「私達とは関係ないし。そうでしょ?」
「そうだけどな」
「冷やかしするのも野暮だし。それに」
「それに?」
「今気付いたことだけれどね」
何か真里の様子が変わってきているのに気付いた。それも普段とは違う妙な感じであった。
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