第七話
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ィアベルの手が頭を掻き始める。
彼とほぼ同一の心境である俺もつられてため息をつき、今後の展開について、あまり考えたくない事柄を思案していると、やはり感性が一つ二つズレているのか、ひょうひょうとしたシーラが陰気な空気に割り込んだ。
「大丈夫だよ。アルちゃんなら」
アルゴの腕を一ミリも疑っていない、気のある声が通った。
それで問題は解決したと思ったのか、いまだ不安をぬぐえずにいる俺たちなど放り出し、シーラはちらりと都会の方へ目をやると、ぶつぶつと呟いた。
「でも、そうなると問題は《会議》までの五時間をどうするかだよね……久しぶりにちゃんとしたごはん食べようって思ってたけど、さすがに五時間は潰せないし……」
食事。そう言えば今は昼時、十一時を少し回ったところだ。
こういう『飯の時間』がくれば、時計を見ずとも腹が鳴るのが人間というものなのだろうが、日も届かない密林の中で、モンスターの湧出が途切れた合間を狙って木の実をかじっていた俺の腹時計はどうやら少なからず狂っているらしい。昼飯のことなど全く気にならなかった。
『ちゃんとしたごはんを食べようって』という台詞についピクリと反応してしまったが、さすがにそれにはつっかかるべきではないだろう。――やたらと酸っぱいあの味にも、飽きが来ていたことではあるし。
以前この町で見かけた大きなレストランを思い出し、生唾を飲み込むと、なにやら難しい顔をしていたディアベルが、ふと表を向き何か決心したように小さく頷いた。
「うん。やっぱりオレも人集めに回るよ。情報屋さんのことを信用してないわけじゃないんだけど、呼びかけた張本人が何もせずにいるっていうのもおかしいし……他の仲間にも知らせないといけないからね。せっかくだし、二人でデートでもしてきなよ」
「なんであんたはそんなにも俺とコイツをくっつけたがるんだ」
ディアベルみたいなマジメそうなやつが言う冗談っていうのは性質が悪い。普段嘘をつかない人間がいたって真剣な眼差しで言うため、冗談が冗談に聞こえないのだ。
その証拠に、やっぱりシーラは沸騰してしまっている。
「まあ、レストランでも酒場でも、行くのは良いとして、それよりまずは情報を広げることが第一だろ。俺たちもできるだけのことはする。シーラのフレンド申請癖も役立てないとだからな」
返事がなかったのでもう一度大きめに同意を求める。その声でようやく我に返ったのか、シーラはまだ赤みの残る顔をぶんぶん上下に振った。
当然、ディアベルの口からもいつもの微笑み付きの『ありがとう。じゃあ頼むよ』が発声されると思っていたのだが、なぜか、彼の顔には申し訳なさそうな、それでいて揺るがない意志を感じさせる表情が描かれていた。
「ああ、それなら……二人共、
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