第七話
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でも早く始めた方がイイ』って、すぐに行ってくれたよ。シーラが話をつけておいてくれたおかげで打ち合わせも早く済んだからね。ありがとう」
にこやかに礼を言ったディアベルの目元が、その時ふと、わずかに動いた。
俺の視覚も聴覚も、何も感じてはいないはずなのに、そのわずかな動作が視界上で発生した途端、感覚は覚醒し、真っ白だった俺の頭の中に、先のシーラとのやり取りが音もなく蘇った。
――はっきりさせればいいのだろうか。
シーラの、あの黒いもやを拭うためには。
「それにしても、アルゴ……あの情報屋さん。なんていうか、無茶苦茶というか……とにかくすごい人だね」
「だよね!そう思うよね!ひどかったんだよ、あたしが初めてアルちゃんに頼みごとした時とか、危うく個人情報売られそうになったし……で、ディアベルは何されたの……?」
シーラが俺の背後から飛び出てきた。まるで先ほどの暗雲などなかったかのような、いつものワルガキの顔とやわらかみのあるソプラノの声を響かせて。
違和感一つない、その『普段通り』のシーラに、ディアベルは興味津々、というより畏怖倦厭の表情で彼女の体験の詳細を迫っている。
そりゃそうだ。
けれども俺の心眼は、確かにその眼の裏側を見透かしていた。
「――まあ、そうだな。どうなるかは『今後の楽しみ』っていうことにしておくよ……知ってももう手遅れな気もするしね。それで……そう、二人とも、《攻略会議》の時間なんだけど――」
《攻略会議》。そう言えばそんな情報を流すのが当初の目的だった。《第一層フロアボス攻略会議》という正式名は、町に来る道中嫌というほど聞かされたが、思えば『いつやるか』という話は結局出ていない。元々、アルゴとの打ち合わせで決めるつもりだったのだろうか。
まあそれでも、ある程度予想はつく。情報が回るスピードも考えて、明後日か、それとも明々後日か――
「今日の午後四時ぴったり、この町の中央広場で開始っていうことに――」
「――ちょっと待った。えーっと……何?午後四時?って言うと……だいたい五時間後か。で、何日後だったっけか」
「『今日』ってディアベルがいってたじゃん。ほんと人の話きかないなぁ、ユウは」
いやツッコむとこそこじゃねぇよ。と心の中で叫ぶ。
心から向けられる『呆れ』の表情に心から呆れていると、もうすっかり『見守り役』が板についてきたディアベルが、そのボケ連弾の結果に苦笑いを作り、言った。
「いやぁ、オレも今日の四時なんて無理だって言ったんだけどね。準備の時間も考えると、四時間で情報を皆に行き渡らせなきゃならなくなるだろ?念押しして言ったんだけどね、彼女に『そンなの三時間で十分ダ』って押し切られちゃって……」
そこまで言って、デ
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