第七話
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あの場所、例の大穴の先には、青剣士ことディアベルの予想通り、ボス部屋へ続くと思われる大扉が存在した。
固く閉ざされた重厚な扉とそこから発せられる妙な威圧感。禍々しくもあるその扉だったが、対して道中には呆れるほどモンスターの湧出がなく、俺たちはさして苦することなくそこへ辿り着くことができた。
たどり着くことは容易だったのだ。だが一人、爆弾のような思考回路を持ち合わせているプレイヤーを抱えている俺たちに、『事が順調に進む』というある意味の事件は起こるはずがないわけで、到着後数十分、せめてボスの姿と武装だけでも見ようよというシーラと、たった三人で出来るかバカという俺のツッコミで、扉前の空間はもめにもめることになった。
ディアベルと、ついでに手持ちの回復薬たちも交えてぎりぎりまで相談を続けた結果、なんとか扉の中を確認することはせず、迷宮区を下る方向へ話をもっていくことに成功し、俺たち一行は最初の《始まりの街》を除けば第一層最大の町、《トールバーナ》へ足を向けることになった。
目的としてはもちろん、減りに減ったポーション瓶たちに新たな仲間を見つけてやるためというのが第一であり、今の俺も、シーラもそれ以外は必要としないのだが今回は一人例外がいる。
ディアベルだ。
第一層攻略のための人集めに協力がほしいらしく、トールバーナへの道中、それを頼まれた。
今度は俺の返答を遮ってシーラがやるやる言っていたが、ともかく、ディアベルの熱弁以外は特段なにもなく――強いて言えば始終シーラがやかましかったが――俺たちは一時間ほどでトールバーナの北門をくぐったのだった。
だが、ここでも問題が発生する。
迷宮内ではさすがに自重していたが、《圏内》に入ったことによりそのセーブも外れたらしい。
シーラがディアベルに、『半強制的にフレンド登録をさせる』という、いわば恒例行事が起こったのだ。
というのも、シーラには事あるごとにフレンド申請を飛ばす癖のようなものがあり、よくディアベルのような被害者を量産する。もっとも、容姿のせいか嫌な顔をするプレイヤーはいなかったので、『被害者』というのはむしろ、そのたびに少しだけ期待した自分を思い出し、羞恥とストレスをため込み続ける俺なのかもしれないが。
ともかく、そのおかげで今現在シーラのフレンドリストには百人ほどのプレイヤーネームが刻まれている。レベル上げでフィールドに籠ることが多く、他のプレイヤーと遭遇する機会が圧倒的に少なかった、とも付け加えればその力量が想像できるだろう。
さらに恐ろしいのは、ものの数分間たわいのない話をしただけのプレイヤーにもそれを送るという点だ。
一度なんて、いかにもナンパですといった調子でからんできたデブ男とガリ男の二人組に、楽しそうだからと申請を送ろうとし
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