第一話
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「何だよ、お前もするか?なんならこいつと同じルールでやってやってもいいぜ」
森川はシノを指さして嗤う。しかし青年は動じることなく、静かに呟いた。
「……まさか、出戻ったその日に、こんなことに巻き込まれるとは、な……だが再陣にはちょうどいいか。いいだろう、受けて立つ。ルールを説明しろ」
後半は強く。森川はそうこなくっちゃなぁ、と返し、賭けファイトのルールを説明した。
「お前が勝ったら俺が今まで稼いできたカードは持ち主に返却、俺はこの店に出入り禁止。ただし俺様が勝ったら、お前のデッキから一番いいカードをもらうぜ」
「良いだろう」
青年はシノの方に歩み寄る。あわてて場所を譲る。
「VFSSまで使っているのか。凝ったものだな……」
スクールバックから取り出されたのは、古びた白いグローブ。それは、《VFシミュレーション・システム》のダメージフィードバックを行うための装置、《VFグローブ》。シノのそれはレンタル品だったが、青年の物は専用品のようだった。
同時に、同じく古びたカードケースが取り出される。中からは、使い込まれたカードたちが姿を見せた。
「なんだぁ?ボロッちいカードだな」
森川も準備を終え、プレイボードの中央……《ヴァンガードサークル》に、最初の一枚を置く。青年も同様。
「森川カツミだ。勝利は俺様のものだぜ」
「……桐生ソウガ」
青年の名乗った名前には、聞き覚えがなかった。大会上位者などではないのだろう。
それに対し森川は、周辺ではそこそこ名を聞くカードギャングだ。実力がそれなりに高いので止めることができず、手を焼いているという。
「「スタンドアップ・ザ・ヴァンガード!! 」」
火ぶたが切って落とされた。
「俺は《サベイジ・ニュービー》》にライドするぜ!」
「……《機械仕掛けの戯曲作家》にライド」
森川が憑依したのは、《ドラゴンエンパイア》所属クラン、《たちかぜ》のユニットだった。瞬間的に爆発するパワーが売り物のそのクランの中でも、《サベイジ》の名をもつユニットたちは比較的簡単にパワーが上がることで有名だった。
対するソウガがライドしたユニットは、見た事の無いものだった。シノは両親の代からのヴァンガードファイターとして、ユニットに関する記憶は人一倍だと自負している。だが、《機械仕掛けの戯曲作家》などと言うカードは見たことがない。イラストが古いので、かなり前のシリーズのカードと予測されるが……。
「先行、ドロー!……《サベイジ・ウォーリア》にライド!」
森川は次のグレードにライドする。現れたのは骨で武装した戦士。
「ターンエンドだ」
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