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白い虹
第三章
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らいいんだって」
 彼は雪にまみれながらもそれでも里奈に自分のコートを着せてそれで彼女を守るのだった。もう自分のことは完全にどうでもいいといった感じで。
「俺全然平気だし」
「本当にそれでいいの?」
「だから気にしないで」
「けれど」
「いいから」
 笑みを作ってまで里奈に言う。
「里奈ちゃん風邪引いたら話にならないし」
「波岡君・・・・・・」
 その時彼女は彼の心に触れた。そしてそれを感じて心が動いたのだった。
「有り難う」
「気にしないでいいよ」
 彼はまた言った。
「さあ、行こうよ」
「頂上までね」
「これで足りなければまだ何かいる?」
 こんどは鞄からマフラーを出してきた。白いやけに大きなマフラーであった。
「これでも」
「マフラーも持ってたの」
「寒くなった時にって思ったんだけれど」
 笑って里奈に言うのだった。
「いる?」
「ううん」
 微笑んで彼に返す。
「いいわ。けれど」
「けれど?」
「いえ。頂上行こう」
「うん」
 二人は笑顔で頂上を目指す。吹雪の中だったがそれはもう苦にはならなかった。遊馬は里奈と一緒にいられればよかったし里奈は里奈で何か楽しいようであった。
 頂上までの道は平坦ではなかったがそのまま上に向かった。そうして遂にその頂上に辿り着いたのだった。ようやくといった感じであった。
「着いたね」
「う、うん」
 遊馬は里奈に顔を向けて頷く。満面の笑みであった。
「やっとだね」
「それでここに何かあるの?」
 里奈はあらためて遊馬に尋ねてきた。
「何かあるから来たのよね」
「うん、そうだけれど」
 そう里奈に答える。吹雪は急に弱くなり今止もうとしていた。
「それはね。つまり」
「あっ」
 里奈が声をあげた。
「何?」
「ほら、虹」
 前を指差して言う。
「虹が。あそこに」
「虹・・・・・・本当だ」
 遊馬もそれを見て声をあげる。気付いてみればそこにはその白い虹があった。気付いてそこにあったのはその白い虹だったのだ。
「本当に出るんだ」
「白い虹なんて」
「いや、こんな虹はじめて見たよね」
 そう里奈に問い返す。
「ええ。それでね」
「何?」
「またここに二人で来ない?よかったら他の場所も二人で色々と」
「二人でって」
「ええ。だって」
 里奈はにこりと笑ってそう彼に言う。
「今日とても気分がよかったから」
「気分が?」
「傘にコートに」
 そう伝える。
「有り難うね。その気持ち嬉しかったの」
「いや、それはさ」
 それを言われて何か急に気恥ずかしくなった。そうして言った。
「それはつまりさ。あの」
「あの?」
「あれなんだよ、あのさ」
 まさか好きだとは言えない。それを言うだけの勇気は彼にはない。馴
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