星の長は希う
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微笑むと、ルーに目を向けた。
「ルーレギオス君」
「!」
呆然としていたルーは名を呼ばれ、弾かれるように顔を上げた。
周り同様に目を見開くルーの姿を、在りし日の友人に重ねる。偽物の銃で戦いを挑んできた、エメラルドグリーンの髪の彼を思い出し、エストは不器用に笑った。
視界が僅かに曖昧になるのは、1度に多くの魔力を使ったせいだろう。それが涙だと気づいたとしても、何が何でも認めたくなかった。
「――――――」
その唇が、何かを呟くように動く。
伝わったのか、ルーは更に目を見開いた。動きを止めたルーに、エストは笑いかける。
(ああ…本当に)
エメラルドグリーンの髪の友人にそっくりだ。
少し天然な性格も、それでいてどこか頼れる隠れた凛々しさも、周りに多くの友人がいるその光景も、彼をそのまま連れてきたかのようにそっくりで。
かつていたあの場所―――彼の友人だった頃を思い出し、エストは目を伏せる。
(敵味方関係なく心配する性格は、少し直した方がいいんじゃないかな)
それを、口には出さなかった。昔も、今も。
ただそのまま、エストはぐらりと体を重力に任せて傾かせ、倒れ込む。カラン、と乾いた音を立てて、杖がその手を離れた。
「息子の次は父親か!?全く……」
苛立つように、ヴィーテルシアは呟く。
エストに駆け寄ったパラゴーネは心配そうに瞳を揺らし、時折小さな声で呼びかけている。気を失っているだけだと説明しても、呼びかけ続けている。
「……ねえ、ルー」
呆然とエストを見つめるルーに、ルーシィが声を掛ける。
聞き間違いでなかったら、エストはこう言ったはずだ―――――「大空回復の同等の効果を」と。
その効果が何なのか、ここにいる全員が薄々は勘づいている。それでもやっぱりルーに説明してもらわないと納得出来なくて、納得したくなくて、ルーシィはルーを見つめた。
「……大空回復はね」
ポツリ、とルーが呟く。
目はエストを見ているまま、口だけを動かして。
「対象の体力・魔力・傷を完璧に治す、大空の中でも最上位の回復魔法。だから魔力消費が激しくて、1人に使うだけでも、魔力を使い過ぎてその後戦えなくなっちゃうような魔法なんだ。もちろん、それと同じ効果の魔法を一気に11人に対して使ったら……」
そこから先は、言わなかった。
言う必要がなかった、という方が正しいのかもしれない。その場にいた全員がその先を悟ったから。ルーもそこまで言葉を絞り出すのがやっとだと告げるように拳を握りしめていた。
「!グラビティメイク “盾”っ!」
暫しの静寂。その中で聞こえた機械音を、パラゴーネ
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