暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
星の長は希う
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ツッコみたくなるような完璧なウインクを決めて、アルカは接収(テイクオーバー)される前と変わらずにいる。
言葉を失っていると、アルカが不思議そうに眉を寄せてミラの顔を見つめた。

「どうしたんだよ、ミラ。聞こえてっか?おーい、おーい」
「…アルカ……大丈夫、なの?」
「オレか?オレはこの通りピンピンしてるよ。お前は?」
「私は大丈夫…だけど。本当に、大丈夫?どこか変なトコとかない?」
「心配症だな、ミラは」

クスリと笑って、アルカはミラの頭を撫でる。
何かあるととりあえず頭を撫でて落ち着かせる癖があるアルカは優しくミラの銀髪を撫でると、目を細めた。

「何度も言うけど大丈夫だって。オレはどこも変…じゃ……な……」

い、と完全に言い切る前に。
アルカは糸の切れた操り人形のように、ミラに覆い被さるように倒れ込んだ。

「アルカ!?」
「ちょ…ちょっと!大丈夫じゃないわよコレ!」

慌ててアルカの顔を見ると、その顔からは血の気が引いていてどこか青白い。目は閉じられ、ミラが支えていなければそのまま倒れてしまうだろう。
これがアルカが言っていた影響か、とミラは目を見開き言葉を失う。
後ろの方でルーが魔力をかき集めて回復しようとしているが、先ほどのパラゴーネの傷を治すのに使った魔力は未だに回復せず、更に第二開放(セカンドリリース)で消費した魔力も消費したっきりそのままで、まともにアルカを回復すればルーの命が危なくなるような状況下である。




「……全く、慣れない事をするからだよ」




――――――そんな時だった。
気を失っていたはずのエストが起き上がり、杖の先端に魔力を集中させたのは。

「リーダー……」
「どうやら君とはこれが最後の仕事のようだね、パラゴーネ…ああ、別に咎めている訳ではないよ?個人の自由を尊重しなければ、それはギルドじゃない」

心配そうに見上げるパラゴーネにエストは微笑むと、杖を構える。地面に突き刺すように構えた杖を見て咄嗟に戦闘態勢を取るナツ達に、困ったように笑ってエストは首を横に振った。

「構える必要はない。君達を攻撃しようなどとは思っていないさ」
「は?」
「己の敗北を認めず足掻き拒むほど、私はワガママではないつもりなんでね」

そう言って、一点に集めた魔力を解き放つ。
その場にいる全員の足元に展開する緑色の大きな魔法陣を見て、ルーが何かに気づいたように顔を上げた。
が、ルーがそれを言うよりも早く、エストが紡ぐ。






「“大空回復(アリエスリカバリー)と同等の効果を、齎してもらおうか”」






魔法陣が発光する。緑色の光が零れ、ナツ達の全身を包む。
見覚えのある光景に目を見開く彼等を見たエストは薄く
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