暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
星の長は希う
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える。
斬られた傷から血を流すエストは、再度杖をミラに向けた。

「邪魔はしないでほしいな、ミラ嬢」
「敵対している以上、邪魔なんて想定内でしょ?」
「いや、そうでもない。まさか君がアルカンジュを接収(テイクオーバー)するとは計算外だ。それ以前に計算外の出来事はあったけどね」
「それ以前に?」

ああ、とエストは頷く。
その声色はギルドでミレーユの死の原因が自分達である事を認めた時と全く変わっていなくて、どこかでアルカの舌打ちが聞こえた。

「ティア嬢が君達に手紙を残していった事さ。あんなものを残していくなんて、助けてほしいと言っているのと同等だろう?人間不信で関わりを持つ事を極力避ける彼女があんな行動に出るとはね」

確かにそうだ。
ギルドに所属して13年。特別親しい相手を作る事は一切せず、友人も恋人もいない(だからジュビアと友達になったと聞いた時はギルドの全員が驚き過ぎて絶叫した)。助けを求めるどころか協力の1つも必要とせず、チームを組んだ事だって今まではない。割と親しい中であるルーやアルカ、弟のクロス等とは仕事に行くが、そのほかは大抵単独行動していた。
だから、あの手紙はある意味ではティアの成長の証だったのだろう。

「意外だったかな、君達の行動も彼女の行動も。このままじゃ計画に支障を来たしてしまう恐れがある…まあ、この計画はどうやっても成功するだろうけどさ」
「させないわよ。絶対に阻止してみせる」
「どうかな。今の君の一挙一動が計画を成功に近づけているのかもしれないよ」

そう言って薄く微笑んだエストは、杖の先に魔力を集中させる。
ミラも、両手に魔力を集め、そして。




――――――2人は、同時に床を蹴った。












「わ、もう夜なんだね!」

驚いたような声を上げたルーは、星が輝く空を見上げる。
この時期の夜の風はひんやりと肌を撫で、露出度の高い服を着ているルーシィはぶるりと震えた。それに気付いたアランが腰に巻いている上着を渡そうとするが、すぐにサイズの違いに気づいたようだ。

「少し冷えるな、いつもの姿なら結構暖かいんだが…」
「狼姿はもこもこだもんね」

どこから取り出したのか長袖の上着に腕を通すヴィーテルシアにハッピーが返す。ヴィーテルシアとしても出来るなら狼姿でいたいのだが、あの姿では如何せん戦いにくい。得意の女帝の業火(エンプレス・オブ・エンプレス)も使えないし、日常生活を送るには問題はないが戦闘となると扱いにくいのだ。

「本宅は……あっちか」
「肯定する。捷径(しょうけい)を先導する須要は存在するか?師匠」
「近道か?ああ、頼んだ」
「了承した」

それなりの距離はあるが、大きい為か問題なく見えるカトレー
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