星の長は希う
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アらしくない。行動1つ起こさずヒーローを待つなんて真っ平御免だ。
『いい?ティアちゃん。王子様なんてどんなに待ったって来ないんだよ?どこぞの物語みたいに困ってたらヒーローが助けてくれるなんて王道展開、現実じゃ有り得ないんだからね!』
「知ってますよ、そんなの」
『うぐっ…だ、だから!待ってるだけじゃ何も変わらないし、待ってるだけがお姫様の仕事じゃないんだよ?たまには誰の力も借りずに魔王のトコから逃げ出さなきゃ!』
「待ってるだけなんてそんな格好悪い事、私がする訳ないでしょ」
『くぅっ…!で、でもねティアちゃん!どーしても、どーしてもどうしようもない時は、あたし達を頼っていいんだよ!見返りとか恩義とかそーゆーの考えないで、助けてって言っていいんだよ?』
そう言って、彼女は笑っていた。
温かく明るい色の髪を揺らして、きゅっと目を細めて、ニコニコと文字が見えそうな程に笑って。
『あたし達は、少なくともあたしは、いつだってティアちゃんのヒーローになるからね!』
「ヒーローなんて、ガラじゃないくせに」
当時の答えをそっくりそのままに呟いたティアは、立ち上がる。
言ってる事がちょくちょく矛盾する彼女の師匠は記憶のどこかで笑っていて、その笑顔に向けて「女だからヒーローじゃなくてヒロインだと思いますけど」と言いたくなるのを敢えて抑えた。そんな細かい事は今はどうでもいい。後で墓の前でたっぷりツッコんでおこう。
「解ってますよ、イオリさん」
そう、呟いて。
ティアの青い瞳に、1度は消えた闘志が宿る。
静かに口角を上げたティアの顔に、先ほどまでの悩むような表情はない。
そこに立つのは、“ギルド最強の女問題児”だった。
海の閃光、氷の女王、闇狩りの戦乙女と呼ばれる、青髪のS級魔導士に他ならなかった。
「諦めが悪いのは、アイツだけじゃないんで」
「あーあ、災厄の道化全滅か〜」
残念そうに、それでも表情は明るく呟く。
ボサボサの髪に隈のある垂れ目、“死の人形使い”の異名を持つマミー・マンは、既に塔を離れていた。
彼女からすると、人の泣き叫ぶ顔やら苦痛に歪む顔を見られない場所は不必要同然だ。誰かの苦痛や悲しみ、恐怖が見られればそれでいい彼女にとって、それらがない場所は退屈以外の何物でもない。
「マミーさんもやられましたかデス?」
「まさか私達が全滅するとは……」
「チッ
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