星の長は希う
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、師匠!弟子である私に任せておけ!」
「弟子じゃねえし師匠でもねえよ!……けど、任せるからな!」
矢継ぎ早に造形を繰り返すパラゴーネの背中に声を掛けたグレイも、その後を追う。先ほどの脇腹の傷が心配だったが、任せておけと言われれば任せるしかない。
彼女だってギルドマスター直属部隊の1人だ。実力はあるし、危険になったら自分から引く事だって出来るだろう。
「さて、僕達も行こっかルーシィ!」
「うん!…でもルー、魔力大丈夫なの?」
「問題ないよ!さっきのアレで回復したからっ」
「お前達は本当に仲が良いな」
「そ、そんな事ないよっ!」
「えへへ、でしょ?」
続けて駆け出すのはルーシィとルー、エルザ。エルザの言葉にルーシィは慌てたように頬を赤く染め、ルーは嬉しそうに笑う。
そんな彼等を見送ったヴィーテルシアは、その手から黒いような紫のような色の光線を放つミラに目を向けた。
「悪いがミラ、エストを頼めるか。無防備すぎていつ狙われるか解らんからな」
「解った。こっちはお願いね」
「ああ」
接収を解いたミラはヴィーテルシアに頷くと、倒れるエストに駆け寄る。意識はあるらしい彼はミラに目を向けると、やや無理矢理に体を起こした。
それを支えつつ、ミラは塔の陰にエストを連れて行く。ここから狙われる可能性が低いだろう。
「ここにいて」
「ああ…すまないね」
ミラに肩を借りたエストはその場に座り込むと、デバイス・アームズの死角になる位置に移動する。
そんな彼を見ていたミラは、ずっと気になっていた事を問い掛けた。
「ねえ……あなたは何で、最後の攻撃を受けたの?」
「……」
―――――――そう。
塔の中での戦いの、トドメとなった一撃。余裕を持って避けられるはずだったミラの攻撃をエストは喰らい、落ちた。
その時のエストは杖に魔力を込めず、防御態勢すら取らず、避ける素振りも見せなかった。まるで、その攻撃を喰らうのを望んでいるかのように。
「……私はね、ずっと息子がほしかったんだ」
「え?」
「だからアルカンジュが生まれた時、本当に嬉しかったんだよ」
しばらく考え込んでいたエストの言葉に、ミラは怪訝そうに眉を寄せる。これがどう質問の答えになるのか解らない。
が、エストはこれが答えだというように、話を続けた。
「私はずっと……恥ずかしい話だが、息子と親子喧嘩をするのが夢だったんだ」
「喧嘩を?」
「そう。男同士で言い合って、妻を困らせるようなね。男と女が喧嘩するよりも言葉が真っ直ぐで、祖父が父と言い合っているのが羨ましかったよ。いつかああやって、遠慮なしに言い合える息子がほしいと思っていたんだ、ずっと」
そう言って、目を伏せる。
目を伏せて微笑むその顔はアルカが
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