星の長は希う
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定的な喪失感か。もしかしたら、無意識にこれ以上の力を欲していて、それを得るほどの強さが自分にはないと気づいてしまったからかもしれない。
ティアだって、別に自分が強いとは思っていない。最強の女問題児だのS級魔導士だの呼ばれてはいるがそれは他人から見た評価なのであって、本人は至って普通だとしか思っていない。
(確かに私は弱い。1人で戦うって決めたのに結局手紙を残していって、突然見えた救いに手を伸ばして、何もせずただここにいるだけで……何にもしてないじゃない)
救われるには、それ相応の行動が必要だ―――――と、ティアは考える。
それは、魔導士が報酬をもらうには仕事を完遂するのが絶対なのと同じ。何かを得るには何かをして、それで初めて何かを得る事が出来るのだと。
だけど、ティアは何もしていない。
きっと彼等はそんなの全く気にせずに手を伸ばし続けるだろうけど、その手に対して手を伸ばす理由がティアにはない。感謝を受け取るには何かしらの行動が必要なのは当然で、それを当然だと思っているからこそ、純粋な救いを歪んだ目で見てしまう。
(動けないなんて言い訳は許されない)
魔法は問題なく使える。それは確認済みだ。
その気になればティアは鎖や枷を壊せるし、鍵がかかっていようと扉だって壊せる。シャロンの強さはよく解っているつもりだが、本気を出せば――――――まだ誰も知らない、ティアが本当に本気を出す時にだけ使う“あの魔法”を使えば、シャロンだって倒せるだろう。
だから、動けないというのは嘘。ナツにはそれらしい事を言ったけれど、きっと気づいているはずだ。同じ場所で戦い、同じ相手に拳を叩きつけてきたナツならば、鎖なんてティアの動きを止める道具になりやしない事を知っているし、壊せると解っているだろう。
(誰かが私の為に動いてくれるなら、私だって誰かの為に動くべきよ)
自分らしくないとは解ってる。
いつだって―――――こう言うとワガママな人のようだが、自分の為にしか動かないのがティアだ。その行動が自然と周りを助けているとは気づいていない。
だけど、無意識ではなく意識的に誰かの為に動く事は滅多にない。らしくない、とかそういう理由ではなく、やり方が解らないのだ。どんなに助けを求めても誰も助けてくれなかったから、周りがどうやって手を差し伸べるのかを見た事がなかったから。
(だったら自分で作ってやる。私の為の、私なりの“誰かの為に”を)
どこかで路線変更している気がするが、気にしない。いつまでも自分の弱さに甘えて、それを考える事で時間を潰している暇なんてない。
ただただ助けを待つなんて、何もせず誰かが来るのを待ち続けるなんて、どこの物語のヒロインだと吐き捨てたくなる。馬鹿馬鹿しい、とも言いたくなる。
そんな“囚われのお姫様”なんてティ
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