皮肉を嫌う男
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彼らとは連絡とってないし。今の私は完璧にこちら側の人間だよ」
ああ、そうだろうさ。お前は、前の姫を殺したも同然なんだ。誰よりも罪悪感を感じているはずだ――――誰よりも此処に囚われているはずだ。
ドン・ボンゴレを愛称で呼び、もう関係ないと呟くシーナは、今にも泣き出しそうだった。俺だって、伊達に年をとっているわけではない。シーナが沢田に何か特別な感情があるだろうことぐらいは、少なくとも関係ないなどと思っていないことぐらいは、分かってしまった。
*
――――そうして。
どこかで予想していた通り、シーナは白蘭に呼び出された。どんな命令なのかも分からないうちに、シーナは自室に引きこもり誰とも面会しようとしない。
すると必然、俺もシーナと会うことは叶わず、ろくでもない噂話でしかシーナの安否を知ることができなくなる。くちさがない者たちの言葉など信用できるわけもなく、とにかく元気ではないらしい、ということしか信じることはできなかった。
そんなある日のことだ。白蘭が沢田綱吉と会う、という話を聞いた。
姫のときと同じだ。全く同じ手を使うらしい。いまさらボンゴレと合併するということは恐らく無いだろう。だからきっと、これで抗争に決着をつける気だ。とりあえずトップを殺してしまうらしい。
シーナはこのことを知っているのだろうか? 知っているから、誰とも会わず引きこもっているのか?
恐らくそうなのだろう。シーナがボンゴレを特別に思っているのは確実だ。だからこそ、百蘭はシーナを呼び出し何かしらの命令をした。
その命令の詳細が分からぬまま、二度目の運命の日はやってくる。ボンゴレがこちらに招かれ、俺たちは周りへの警戒を怠るなと厳命された。そのためひたすら見回りをしていたり、武器の管理をしていたりする奴等がよく居た。俺たちもその中の一部。
「アニキ、シーナの噂聞いたか?」
「またか? たくさんありすぎてどれのことだか分からないな」
「いや、それじゃねぇんだ。なんでも、今日ようやくシーナが部屋から出てきたらしい。それで白蘭のとこに向かったって言うもんだから、もうこの話で持ちきりだ」
「白蘭のとこだって?」
後は、ただ本能だった。さっと駆け巡った嫌な予感のままに、走る。厳重な警備がしかれている廊下を行き、最奥へと近づいたとき、銃声が響いた。
シーナだ。
何の証拠もないのに、そう確信した。
*
ひとつだけ、忘れられない光景がある。
「なあ、待てよ」
それは、まだ俺が若い頃のことだ。ちょっとしたへまをして、当時敵対していたファミリーに取っ捕まったことが
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