皮肉を賛す女
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はつまりどちらに属することもできていないということなのだけれども。
そして、アジトの外での仕事の際。起こるべくして起こった事態だと言えるだろう。ボンゴレの守護者の突然の奇襲。こちらの人数は白黒合わせ三十ほど。対してあちらは二人。そんな絶対的不利の奇襲作戦を彼らは実行し、結果仮の宿として借りていたホテルの一室にまで飛び込んできた。そこに待機していた私とは、思わぬ形での再会だ。
「椎菜……?! お前、どうしてこんなところに?!」
ドン・ボンゴレの右腕と称される、嵐の守護者、獄寺隼人。当然、私の友人でもある人だ。その人の隣には山本武も居て、やっぱり驚愕の表情を並べていた。
そして私の昔の友人たちに負けないくらいの驚きを全身で表現しているのが、γ。どうやら彼とは昔からの付き合いだけに、ボンゴレとつながりがあることが不思議でならないらしい。
「や。久しぶり」
「おま…………! どういうことだっ! なんでミルフィオーレの制服を……!」
そんなの答えは簡単だ。
「私が、ミルフィオーレの構成員だからだよ」
獄寺の視線は鋭くなる。どうやら私の言っていることを真実だと受け取り、敵だと判断したらしい。それとは反対に、山本は戸惑っている。私と獄寺をしきりに見比べている。
「椎奈! ふせろ!」
突然のγの声。言われるがまま咄嗟に伏せたら、鼓膜が破れるのではと思うほどの轟音が聞こえた。ダイナマイトが炸裂した音。
絶体絶命、そんな文字が頭をよぎった。
「椎奈、どこだ!」
γが私の名を呼び、安否の確認をしようとしている。獄寺たちはどうなったのかと、頭をあげれば、そこはすでにもぬけの殻だった。さっきの爆発に乗じて、逃げ出したみたいだ……多分。
私に怪我はなかった。どうして彼は匣でなく、旧い武器であるダイナマイトを使っていたのだろうか。不思議だったが、答えを知っているような気も、していた。
*
『知ってたよ』
開口一番、ツっ君はそう切り出した。何も言えない私に向かって。
そうか、知っていたのか。知っているはずがないと思う自分もいたけれど、でも彼なら知っていても可笑しくないと思う自分もいた。こんな状況なのにやけに冷静な自分が、笑えるほど可笑しかった。
「どうして?」
『椎奈が突然消えて、どこに行ったのかなんて、想像くらいつくよ。――――ミルフィオーレの成り立ちだって、知ってる』
「ああ、そっか」
何も告げずに日本を発ち、それから連絡を一切していなかったが、私の居所など彼には筒抜けだったらしい。良く考えれば、それも普通のことかもしれないと、思ったけれど。
『詳しいことは聞かないけど、椎奈が辛い思いをしてるのは分かってるよ。だから、俺たち
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