皮肉を言う女
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奥へ戻っていく百蘭。
何度も何度も、彼を殺そうとする手を、足を、ユニを言葉を思い出して必死に止めていた。
――――耐えて。シーナ、時を待って。まだその時じゃないわ。
いつになったらその時が来るのか、あなたは教えてくれなかったわ。
「シーナチャン。うちはね、やることさえやってくれれば、幸せになれるの。きちんと嫌な仕事をしてくれたんだからね、スパイの件は水に流してあげる」
合併したのだ。いわれなくたって、スパイなんて、ひつようない。
γが叫ぶ、そして睨む。泣く私を、彼の一生懸命な言葉が責めたてていた。何故姫を助けなかったのかと。お前はそうするためにそこに居るんじゃないのかと。
違う。
私はユニを殺した。劇薬を投与したのは、紛れも無く私なのだ。いつでも笑顔だったユニを消したのは、私。
ユニを殺したのは、私だ。
*
こういうとき、決まって思い出す光景がある。
アリアさんが亡くなったときも、ジェッソのスパイになった翌日も。
赤い夕陽を背負って、愛しい人は私に手を伸ばす。何度思い出しても、泣きたくなるほど胸が切なくなる光景だ。
ツっ君、あなたはいまどこにいるの。
今、すごくむしょうに、あいたいよ。
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