皮肉を言う女
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、最初に出した条件。自分の命を最優先にすること。例えどんな命令でも百蘭に従うこと。それから、耐えること。今が一番大事なときなのよ』
「ユニ……私は、貴女に死んでほしくない」
『シーナ。大丈夫よ、私を信じて。無謀なんかじゃないわ』
「…………それでも、やっぱり私、!」
『耐えて。シーナ、時を待って。まだその時じゃないわ』
誰かの足音が聞こえたので、仕方無しに電話は切る。もう、時間は無かった。掛け直すことは出来ない。ユニはただ、大丈夫だ無謀じゃない時を待て。それしか言ってくれなかった。ええ、信じているとも。あなたは私の大空だもの。あなた以外に信じるべきボスは存在しない。でも、けれど。だからこそ、あなたに死んでほしくない、ユニ。
私は心を落ち着かせてから、百蘭の部屋へと向かう。
「あ、シーナチャン? 話は正チャンからよく聞くよ、優秀な助手だってね」
「勿体無いお言葉、ありがとうございます」
「それでね、明後日ジッリョネロのボスを迎え入れる話は知ってるでしょ?」
「はい」
「その場に、君に居てほしいんだ」
「……私に、ですか? 失礼ですが、私程度の者がそんな大事な場に訪れるのは、些か……」
「シーナチャンだからこそ、だよ。うちはね、やるべきことをやってくれれば、幸せになれるんだよ」
「は……しかし」
「男にお茶を淹れてもらうより、女の子から淹れてもらった方が美味しいでしょ? だからね、その時、相手側のボスのお茶にコレを入れてほしいんだ」
「これは……?」
「劇薬。詳しい名前は知らないほうがいいよ」
いつも見る顔でにっこりと笑っている百蘭。彼の手には薬らしき液体が握られている。劇薬だと言った。詳しい名前は知らないほうがいいと言った。どんな作用があるかも、決して教えてくれない。それがどれだけ危険な話なのか、いくら馬鹿な私の頭でも考えつくというものだ。
それを、ユニのお茶に入れる。どんなことが起こるのかも分からないまま。
(百蘭の命令は絶対に聞いて。例えそれがどんな命令だとしても)
ユニ、こんな命令でも? 絶対に聞かなくてはいけないの?
ユニは笑顔で頷くことだろう。きっと、全てを予知して言っていたのだ。
(今が一番大事なときなのよ)
そんなの知らない。分からないよ、ユニ。教えてくれなきゃ分からない。耐えろ、とあなたは言った。いつまで耐えればいい? 時が来るまで? いつ、何の時が来るのかあなたは教えてくれなかったじゃない。酷い。
ユニの好きだった紅茶に、透明な液体をたらす。それだけの仕事だった。
私は、その間、一度たりとも泣かなかった。
「気安く触るな」
激昂するγ。それを止める仲間たち。彼の攻撃によって血を流しているユニ。飄々とした態度で、足取りで、
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