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皮肉を愛す女
皮肉を言う女
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だ。誇っていいぞ、椎菜」

 私は祖父母に預けられていて、両親には写真でしか会ったことがない。その上、なぜだか祖父母は両親のことを嫌っていて、ろくに二人の話もしてくれなかった。
 なのに、私はその時素直に両親のことを誇りに思えた。素晴らしい両親を持てて、私は幸せなのだろうと。そう思えたのはきっと、隣にドン・ボンゴレが居たからなのだろう。

 そういえば。話は飛ぶ。その頃だったか記憶は定かではないが、ツっ君は京子ちゃんのことが好きだった。京子ちゃんはそれに全く気付いていなかったが、それでも、ツっ君に好意を持っていたのは確か。結局、どんな関係なのか分からぬまま高校生になり、私はイタリアへ飛び立った。

 なんのツテも無いままジッリョネロのアジトへ乗り込み、両親に会おうとした。が、すぐにその場に居た黒服の男につかまり、殺されかけたのを覚えている。まだまだ、裏の世界について無知だったのだ。その時殺されなかった幸運は、今でも私の自慢話である。
 そして、そこのボスのアリアさんに助けられ、両親が数日前に死んでいたことを知った。落ち込む私をアリアさんが慰めてくれて、その彼女の服の袖が濡れていることを知り、私はこの人についていくことを心に決めたのだ。


 そうして、私がそのファミリーに馴染んでいくうち、いつしか表立った抗争が出てきた頃には、既に何もかもが手遅れだった。当然、ただの下っ端と何も変わらない私がどうこうできる問題ではなく、私はただ力尽きていくアリアさんを見守ることしかできなかった。
 強く美しかったアリアさんも、病には勝つことができなかったのだ。

「アリアさん、話ってなんですか……?」
「シーナ……。私の遺言だと思って、よく聞いて」
「…………はい」
「私にはね、娘がいるの。ユニという名前よ。これからユニが居る場所を教えるから、今すぐあなたにユニを迎えに行ってほしいの」
「む、娘?! アリアさん、お子さんがいらっしゃったんですか?!」
「ええ。正真正銘、私の子よ。それでね、私が死んだあと、ユニにこのジッリョネロを任せたいと思ってる」
「…………そのユニ様は、今のジッリョネロを支えられるほどのお人なんでしょうか? 失礼ですが、私にはアリアさんの代わりが務まる人がいるとは思えません」
「私の娘よ、信じなさい。…………それでね、シーナ。ユニに会いに行く時、このおしゃぶりを持っていって欲しいの」
「おしゃぶりを?」
「ええ。……あなたにしか、頼めないの。よろしくね」

 そして、弱るアリアさんの頼みを聞くため、私は幻騎士と共にアジトを発ち、アリアさんから教えられた家へと向かった。
 そこに居たユニ様は私よりも年下で、本当に彼女にジッリョネロを任せられるのだろうかと、不安に思ってしまった。失礼にも。
 けれど、それも
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