無印編
月村会談
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、当時の常識で西へ行く人間など皆無だ」
「どうして?アメリカに逃げようとは思はなかったの?」
「当時はアメリカ大陸は発見されていないし、世界は四角型で大西洋の向こうは世界の端だと思われていたくらいだ。南のアフリカ大陸も北部はヨーロッパ勢力の支配下、その上、砂漠と言う大きな壁のせいでそれ以上南へは行けない。北もすぐに北極海だから逃げようがないし、そもそも生きる上では環境が過酷すぎる。だから残ったのは東だけなのだよ。迫害を逃れて東へ東へ進み、中国を超えて日本にくると、そこから先は太平洋だからもう行きようがない。だから日本には昔から多くの異形の物たちが住み着いている。八百万の神々の由来ともいえる。故に、日本は昔からそういう存在には寛容なところがある。『夜の一族』のようなものはもちろん、本物の化物にさえ、社会的に問題がなければ人間と同じ人権を与える、世界でも稀有な国だ」
「ほ、本物の化物って?」
「例えば妖怪や吸血鬼、この場合は夜の一族を指すのではなく、本物の化物のことを言う」
「本物の吸血鬼?」
忍が剛に問いただす。
「そういえば父さん、昔イギリスで真祖の吸血鬼を戦ったことがあるって言ってたよね?」
「ああ、そうだが?」
「ちょっと待って!?真祖って何!?」
「ふむ?君たちは『アーカード』と言う言葉に聞き覚えは?」
「「「「「?」」」」」
忍たちは首を傾げた。
「やはり知らんか。いや、彼のことを僅かでも知ってたら自らを『吸血鬼』などとは自称しまい」
「も、もしかしてそれって・・・」
本好きのすずかだけは気付いたようだ。
「もしかして、『不死の王』の?」
「詳しいな。その通りだが?」
「そんな!?あれっておとぎ話じゃ!?」
「いや、間違いなく実在する。そしてそれこそが真祖の吸血鬼だ」
「なんの話をしているの?」
「『Alucard』は『Dracula』の逆綴りなの、お姉ちゃん」
「ドラキュラっておとぎ話に出てくる吸血鬼?」
すずかの解説にアリサが訪ねる。
「正確にはあれは吸血鬼を指す言葉ではなく、ある個人を指す言葉だ。そしてその逆綴りであるその名を名乗ることができるのは1人のみ」
「ちょっと待って!?ワラキア公国のブラド伯爵が吸血鬼って言うのはあくまでも、ブラム・ストーカーの小説のモデルって話でしょ!?それにブラド伯爵が夜の一族だなんて聞いたこともないわよ!?」
剛の言葉に何を言いたいのか理解した忍は声を上げて反論する。
元々、ドラキュラと言う言葉は、15世紀のワラキア公国の領主であり、『串刺し公』として有名なブラド。ツェペシュの2つ名である。
ブラドの父の2つ名が『ドラクル(竜公)』であり、その息子であるブラドも『
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ