無印編
月村会談
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ありがとう・・・・」
「あたしもよ、すずか!?吸血鬼だからなんだっていうのよ!?あの時の言葉に嘘なんてないんだからね!?」
「ありがとう・・・・アリサちゃん、龍一くん」
大粒の涙を流しながら、すずかはひたすら『ありがとう』と呟いていた。
「どうやら、子供たちは大丈夫そうね」
忍は龍一の宣言に聞き入っていた。
今まで夜の一族の事を知って、人間だと肯定するのではなく『化物のまま』受け入れた人間など稀有な存在だからだ。
「いい息子さんですね」
さくらが剛に話しかける。
「ああ。自慢の息子だ」
剛は誇らしげに答えた。
「さて、月村すずか」
剛がすずかに話しかけた。
「はい」
「安心していい。君たちの一族は『特異遺伝持ちの人間』と日本国が正式に定義している。心配せずとも、他の誰にどのように言われようとも、君たちは立派な『人間』だ。それは日本が、我々がそして私が保障しよう」
「ありがとうございます」
剛にお礼を言うすずか。
その顔には満面の笑みが浮かんでいた。
もう彼女は大丈夫だろう。
「さて、次に私たちについて話させてもらおう」
そう言って、剛は零課について説明した。
日本だけでなく、世界中の社会の裏に存在する『魔法』や『超能力』といった、表向きには『存在しない』とされるものに対処する国家機関であることを簡単に説明した。
「なんか、どっかのマンガみたいな組織ね」
「ってことは龍一くんのお父さんも龍一くんみたいに魔法が使えるの?」
「いや、私にはそもそも魔法を使用するために必要なリンカーコアと呼ばれる器官が存在しないため、魔法は使えない」
「そうなの?マンガだと、そう言って機関の人間って魔法が使えないとなれないんじゃないの?」
「私の所属するところは事件を捜査するのが仕事だから、全員が魔法を使える必要はないのだよ」
「なんか夢がないわね」
「それよりも・・・・」
忍が剛に話かけてきた。
「どうして、あなたが『夜の一族』について知っていたの?」
「簡単だ。ヨーロッパでの迫害を逃れた君たちが日本に逃げてきたのを、零課が匿い、日本国籍を与えたのだから」
「零課の人間は私たちのような特殊な血筋の人間を保護することも仕事の内の一つなのよ」
さくらが補足を入れてきた。
「だから零課の人間はわたしたちの事もよく知ってて当然なの」
「でも、どうしてわざわざ日本に?遠いじゃない」
純粋な疑問からか、アリサが訪ねてきた。
「日本はいわゆる吹き溜まりと言うやつなんだよ」
「吹き溜まり?」
「そう。ヨーロッパ諸国の教会勢力が強い地域から迫害を逃れてきた者たちはみんな東に東に逃げて行った」
「どうして東?」
「まず西だが
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