無印編
月村会談
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方だ。そこまで言うのならまあいい。話せるだけでいい。ゆっくりでいい。何が起こったのか聞かせてほしい」
しばらくの間、3人から誘拐事件のあらましを聞いていた。
そして、忍たちはアリサと龍一が『夜の一族』ついて知ってしまったことを知った。
「そう。あなたたちは知ってしまったのね?」
「「はい」」
「じゃあ。説明してあげる」
それから忍から、『夜の一族』についての説明が始まった。
正確な起源は不明だが、西ヨーロッパに端を発する、いわば人類の突然変異が定着した存在であること。
美しい容姿と明晰な頭脳、高い運動能力や再生能力、あるいは心理操作能力や霊感など数々の特殊能力を持つ代わりに、体内で生成される栄養価、特に鉄分のバランスが悪いため、完全栄養食である人間の生き血を求めること。
「ねえ、アリサちゃん、龍一くん・・・」
忍の説明が終わると、震える声ですずかが聞いてきた。
「何よ?」
「何だ?」
「怖くないの?あたしは人の血を吸う化物なんだよ?」
瞳に涙を浮かべながらそう尋ねるすずか。
彼女は不安で一杯なのだ。
誘拐され、知られたくない秘密を暴露された。
初めて自分の一族の秘密を知ったその時から、彼女は自問し続けていたのだ。
『化物の自分なんかがみんなと一緒にいていいのか?』と。
学校で友達ができてからは、楽しさで忘れていたが、自分は結局のところ化物。
今回の誘拐だって、自分が原因のようなものだ。
このまま一緒にいたら、またみんなを巻き込んでしまう。
それも嫌だが、それ以上に、せっかくの親友が自分から離れて行ってしまうことがもっと怖かった。
「やれやれ。月村、君は一つ思い違いをしているよ」
「思い違い?」
龍一の言葉にすずかは顔を上げる。
「そもそも、ヒトでないといけない理由は何だ?」
「え?」
思ってもみなかった言葉にすずかは言葉を失った。
「やれやれ。キリスト教を始めとする一神教の人間上位の思想には参ったものだ。君の考えてることは分かる。どうせ『化物の自分なんかが』なんて考えてるんだろう?」
「え!?・・・う、うん」
自分の考えが当てられ、動揺するすずか。
「ふざけるな!?人間だから!?化物だから!?僕はそんな基準で君と友達になったんじゃない!!例え、月村が本物の化物であろうと君は君だ!!月村は簡単に失われて良いほど軽い存在でもないし、人間だとかそうでないとか、そんなくだらない理由だけで仲間外れにして良いような存在じゃない!!それだけは、誰になんと言われようとも覆ることだけはない!!」
大声で宣言する龍一に涙を流すすずか。
「あ、ありがとう・・・ヒック・・・・・本当に
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