無印編
誘拐事件・前篇
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
べなどないね!!」
勝ち誇った笑みを浮かべる氷村。
「お願い、逃げて!!」
「龍一!!」
泣きそうな顔を浮かべる2人。
「くだらねえ!!」
龍一は新たに取り出した杭を部屋の至るところに向かって投げだす。
「はっ!!どこを狙っている!!」
氷村があざ笑うが気付いていない。
ここからが結界魔導師守宮龍一の本気だということに。
「『nudus ara, sere nudus』」
龍一が詠唱をすると杭が輝き出し、自動人形が動きを止める。
「な!?おい、どうしたんだ!?動け!?」
「もうこの部屋にいる自動人形は動かないよ」
「貴様!?何をした!?」
「『いにしえの世に帰れ』それがこの結界の名前さ。この部屋に結界を張らせてらった。結界内にいる間は、すべての高度文明の発明品は使えない。電子機器は持ち論、火薬さえもだ」
『いにしえの世に帰れ』とは『カンピオーネ』に登場する能力であり、本来は島一体を包み込むほどの大規模な能力だが、彼の魔力ではでかくても建物一分が精一杯である。
「そんなバカなことがあるか!?何をしているんだ!?さっさとあの餓鬼を始末しろ!?」
氷村が喚く中、また杭が彼に向かって飛んでいき、肩や膝に命中する。
「がっ!?」
崩れ落ちた氷村は後ずさりする。
「く、来るな!?来るな!?」
「どうしたよ吸血鬼?化物なんだろ?まだ肩や膝に杭が刺さっただけじゃないか。かかってこい。使い魔たちを出せ!!体を変化させろ!!腕を再構築して反撃しろ!!お楽しみはこれからだ!!ハリーハリー!!ハリーハリーハリー!!」
「ば、化物め!?」
そう言って氷村は逃げようとするが。
「チッ、三下が。落とせ『蚊帳吊り狸』」
逃げようとする氷村の足元から、蚊帳が出現し、男を包み込むとそのまま消えてしまった。
『蚊帳吊り狸』とは『ほうかご百物語』に登場する狸の妖怪が使ってた技で、相手を蚊帳で覆われた異空間に閉じ込めるものである。
脱出するには丹田に気を込めて、蚊帳を36枚くぐらなければいけないので、方法を知らない彼には脱出はできないだろう。
「ふう。大丈夫かい?二人とも」
「龍一、あんたは一体?」
「龍一くん?」
「僕かい?月村が可愛い吸血鬼なら、僕はしがない魔法使いだよ」
その時、倉庫の扉が開き、誰かが入ってきた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ