第四章
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第四章
「これからもな」
「そうね。だから夫婦なんだし」
夫の言葉を受けて微笑む。
「二人でね。ずっとね」
「そうしような」
二人で言い合うのだった。最初の子供が生まれた時の話だ。今からかなり昔の、それこそ三十年以上も前の話だ。彼女はその時のことをその夫婦茶碗を見て思い出していたのだ。
「あの時そんなことがあったわね」
そのことを回想が目の前に浮かんでいた。まるで昨日のように。
思い出し終えても余韻が強く残っていた。そしてその中で夫婦茶碗を手に取ってそのうえでまた言うのだった。
「けれど。今は」
自分は離婚を決意している。そこまで変わってしまった。しかしだった。その時の自分を思い出すことができた。そうして今あることを考え付いたのだった。
「もう少しね」
考えてみることにしたのだった。
「やるだけやって」
実行も考えついた。そうしてその日の夜。いつもは先に食べて休むが今日は違っていた。あえて夫の帰りを待つことにしたのである。
彼が帰って来たのは九時過ぎだった。帰るとすぐに妻に言ってきた。
「何だ、まだ風呂にも入ってないのか」
「ちょっとね」
和風の台のところに座って彼に告げた。
「時間がかかって」
「飯の支度にか?」
「ええ。ちょっと遅くまで昼寝してて」
理由はそういうことにした。
「それでね。今になったのよ」
「昼寝にしても遅過ぎないか?」
夫は妻のその言葉を受けて苦笑いしながら述べた。
「今九時回ってるぞ」
「けれどできたことはできたわ」
苦笑いする夫にこう話す。
「ちゃんとね」
「そうか。じゃあ食べるか」
「ええ」
「二人で食べるんだな」
彼はとりあえず鞄を部屋の隅に置いてくたびれた背広の上を脱いでそのうえで妻に述べた。ネクタイも外そうとしている。
「それも久し振りだな」
「その前に着替えましょう」
ネクタイを外そうとしているその時に彼に言った。
「食べる前にね」
「ああ、じゃあちょっと着替えて来るな」
「私も手伝うわ」
「おいおい、どうしたんだよ」
妻の普段とは違う動きに彼はここでも苦笑いを浮べた。
「卿は一体。おかしいぞ」
「別に何も」
妻は自分の考えは隠して彼に述べた。
「ないわ」
「だといいけれどな」
「とにかく着替えてからにしましょう」
また夫に話す。
「それからね」
「わかった。じゃあな」
こうしてまず二人で着替えた。着替えが終わってからそのうえで夕食に向かう。そのうえで二人で食べはじめた。
妻はあの茶碗を出していた。それにお互いの飯を盛っていく。そうして夫に手渡してそれからいただきますをして食べた。食べてみると。
「おい、今日の飯は違うな」
「そうね」
二人で同時に言い合った。妻にと
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