幽鬼の支配者編
EP.26 ミラジェーン
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彼女が気絶している間に、グレイとエレメント4の一人・大海のジュビアの戦いがグレイの勝利で終わった事。そこで魔導巨人の動きが遅くなっている事に気付き、生体リンク魔法でエレメント4がこの巨人の動力源になっている事が分かった事……
「残りの一人はマスターをやった大空のアリアだが……エルザが向かっているから問題ない。後は――――」
「鉄竜のガジルと、マスター・ジョゼ……」
ガジルは同じ滅竜魔導士のナツに任せるにしても、この戦争を終わらせるために倒すべき最も厄介な敵が残っている。
無理な覚醒で魔力の大半を消費してしまい、立つのがやっとのミラジェーンはもちろん、妖精の尻尾の実力者たるエルフマンやグレイでさえも、ジョゼの前では子供同然だろう――ワタルはそう確信していた。
聖十の称号を持つ魔導士――このイシュガル大陸で十の指に入る魔導士の力はそれほど重いのだ。
「分かってるけど……でも……!」
言葉に出さなくても自分たちが足手まといだと分かったのか、悔しそうにしているミラジェーンに、ワタルは引き締めていた表情を緩めた。
「そんなに思いつめるな。きっと大丈夫、なんとかなるさ」
「あ、ちょっと……!」
「じゃあな。さっさと離脱しろよ」
心配そうなミラジェーンを安心させるように彼女の肩を叩いてそう言うと、ワタルは制止も聞かずに駆け出した。
「姉ちゃん……良かったのか、これで?」
「……初恋は実らない、って言うしね……これでいいのよ、私たちは」
ミラジェーンとワタルの話は聞こえていないが、ずっと一緒にいた家族のエルフマンには、姉がワタルに向けている感情について、なんとなく察しがついていた。
ワタルの背中が見えなくなってから近付いてきた弟の心配そうな言葉に、彼女はそう言うと、明るく笑う。
「(失恋の涙はとうの昔に流した。だから……)エルフマン」
「何だ、姉ちゃん」
「私も……前に進むわ」
過去を断ち切る訳でも、ましてや忘れる訳でもない。今も生きている者、思い出の中にしか生きていない者……そんな大切な者たちと過ごした記憶は、確かに自分の中に息づいている。
それでも、泣いてばかりだった過去の自分に別れを告げて、大切な仲間たちと共に未来へ進もう。
妹も、きっとそれを願っているだろうから。
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