幽鬼の支配者編
EP.26 ミラジェーン
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一触即発になり、いつものようにワタルがそれを仲介する。
普段と変わらない光景に、ある種の清々しさすら覚えた私は遅れた分を取り返すかのように、弟と妹を率いてリクエストボードに向かうのだった。
そんな日常を壊したくなくて、私は彼に想いを伝えようとはせず……甘くて少しの苦さを残した私の初恋はこうして幕を閉じた。
……少なくとも、当時の私にとってはそのはずだった。
= = =
魔導巨人ファントムMk2の中腹部。
エレメント4の一人、大地のソルとエルフマンの戦いの場でもあったこの通路は、精巧な石造と美しい花壇で彩られ、大理石で造られていた。
ギルドというより美術館の方がしっくりくるくらいだったのだが……“全身接収・悪魔の魂”に変身したミラジェーンの暴走によって、水浸しになったり粉々になったりと、見る影も無く破壊されていた。
「ん……」
「姉ちゃん! 大丈夫か?」
「エルフマン……良かった、無事だったのね。……私は……痛っ!」
エルフマンの巨体に身体を預け、眠るように気絶していたミラジェーンが意識を覚醒させて最初に見たのは、大きな身体に似合わず繊細な弟の心配そうな顔だった。
彼の無事に安堵した後、すぐに身体中の痛みに呻いた彼女を心配して、ワタルも近寄り、片膝をつく。
「大丈夫か、ミラ?」
「ワタル……ええ、大丈夫よ。でも……私、なんてことを……」
周りの惨状と、覚えのある自分の魔力の残滓を感じ取ったミラジェーンは、自分のした事を思い出して顔面蒼白になる。
中でも、暴走していたとはいえ、弟・エルフマンに襲い掛かってしまった事は、彼女の心を深く傷つけていた。
それが分かった……いや、ある程度予想していたのか、エルフマンは自責の念に駆られる姉を慰める。
「姉ちゃんが悪いんじゃない……俺のあんな姿なんて、もう見たくなかっただろ? 俺がアレを制御できなかったばっかりに、リサーナは――――」
「エルフマン……」
「今回だって、俺は見ているだけで、何もできなかった……。妖精の尻尾を、姉ちゃんを守れるだけの強い漢になりたい……そう思ってたのに……笑っちまうよな」
肩に置かれた、悔しさに震えるエルフマンの手に、自分の手を重ねたミラジェーンは首を振りながら口を開いた。
「……あの時、あなたは必死で私たちを守ろうとしてくれたじゃない。今だってそうよ。だから、自分を責めないで、エルフマン……あなたや私がそんな様子だと、リサーナに笑われちゃうわよ」
エルフマンに、そして自分にも言い聞かせるような言葉と共に、なんとか笑顔を見せるミラジェーン。
「うぅ……姉ちゃ
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