第二章
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に右手を添えて誇らしげに告げてきた。
「御前が帰って来るまでにな」
「嘘でしょ?」
彼女は最初夫のその言葉を信じなかった。
「御馳走って。あなた料理は」
「味はわからないけれどとにかく食べてくれ」
だが妻にとにかく言う。どうしても自分の作った料理を食べてもらいたいようである。
その夫に言われるまま家の中に入った。まだアパートだった。アパートの奥の今にはちゃぶ台がありそこに様々な料理が置かれていた。
見れば種類は多く量もかなりだがどれも外見は酷いものだった。はじめて作ったということがすぐにわかるようなものばかりだった。
妻はそれを見てまずは呆れた。そのうえで夫に顔を向けると彼はにこにことしていた。その顔を見ていると何にも言えなかった。
それで彼に勧められるまま座った。そして向かい側に座った彼のビールを受けて乾杯になった。
「さあ、食べるか」
「御飯も炊いたのね」
「ああ、赤飯だ」
実際にジャーから出て来たのは赤い飯だった。一応小豆は入っているがべちゃべちゃでしかもおかずでもある御馳走とは全く合っていなかった。
だがそれでも夫はその赤飯をいそいそと茶碗に盛る。その茶碗は彼女の夫婦茶碗だった。
「さあ、食べてくれよ」
「ええ」
やはり一応頷きはする。だが間近にその赤飯を見るとそのべちゃべちゃ加減がさらによくわかる。水の分量がわからずに炊いたとしか思えないものだった。
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