第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日:『夢引き』
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「さあ、何でも好きなもん頼んでくれ。財布はギュウギュウ、後は支払いをご覧じろってね」
「おおっ、対馬さん、太っ腹じゃないですかぁ!」
「やった、実はここ……ケーキバイキングやってるんですよ」
「まぁ、そう言うことでしたら遠慮なくいただきますの」
得意気にマネーカードをちらつかせればきゃいきゃいと騒ぐ三人娘を他所に、黙々と思考して。機械的に注文したアイスコーヒー、啜りながら。財布役になるだろうが、涙子の快気祝いなのだからと気にしない事にして。
勿論、野郎四人で行ったファミレスにではこんな事はしていない。一円単位の割り勘だった。その所為で罪をひっかぶらされたのであるが、当然、彼にとっては些末な事。
「しかし、後遺症とか無くて良かった。確か、『幻想御手』ってプログラムは『同系統の能力者の脳波を共有して増幅する』システムだったんだろ? 脳波の混濁とか起きるかも知れなかったわけだし」
対面の飾利と共にケーキを取りに行った黒子とは逆隣の席、『全種類持ってきますから、佐天さんは待ってて下さい』と笑顔で恐ろしい事を言っていた飾利に座らされたまま、フラッペを食んでいる涙子に語り掛ける。
「お医者さんが言うには、浄化プログラムのお陰で完全に切り離されてるそうです。もう、脳波ネットワークも消滅してるそうですから、大丈夫ですよ」
「それなら良いけどさ」
後で解析された『幻想御手』の仕組み。ありふれた能力種である『空力使い』の涙子には効果抜群、しかし学園都市唯一の能力種である嚆矢には、意味がないもの。
まぁ、終わった話ではあるが。と、ふと。涙子の表情に影が射した気がして。懐の『ステイルの護符』に魔力を流して発動、確率を司る己の能力『制空権域』にて軽い頭痛に反動を抑えながら、刻み付ける。雄弁を得る『話術』と、成長を意味する『治癒』のルーン。
「……何か有ったんならさ、もしよかったら相談にくらいは乗るよ。出来る事は、多寡が知れてるけどさ」
「あはは…………うーんと、別にそこまでおかしいって訳じゃないんです。だから、お医者さんにも話してなかったんですけど」
ぽん、と。彼女の掌に重ねた己の掌を透して。遣り方が汚いが、副作用で多弁となる『話術』と過ちを償う意味も持つ『治癒』を彼女に。
その成果か、重ねられた掌に一瞬慌てた様子だった涙子が落ち着きを取り戻す。そして何か。他の誰にも話していないし、話す事もないだろう事を、ぽつりと。
「夢……変な夢を見るんです。私、夜
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