第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十六日:『夢引き』
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ークス》くらいだのものだ、と。
「どうしたよ、ロリコン先輩?」
隣のおむすび君の声に正気に還り、黒一色の現実にまた、嫌気が差して仏頂面に。
そして、今までの考えを全て、忘却の彼方に。また、いつもの日常に没頭する為に。
「別に。早く終わらねぇかなって、それだけだ。早く終わらせて、ファミレスにでも涼みに行こうぜ」
「お、良いっすね」
「……悪くない」
「今日、初めて同意するぜ」
天魔に唆された少年達は、代わり映えしない日々を過ごして。結局、そこを美偉に見付かり大目玉を喰らうのは後の話。
………………
…………
……
チク・タク。チク・タク。秒針の音、揺らぐ事無く。時計の音、変わる事無く。白銀の懐中時計を携えて、オープンテラスで紅茶とスコーンを摂る年若い紳士は葉巻を蒸かして。
「やれやれ……夢引きも知らぬか」
酷く巨大で重厚な、大型の機械が軋むように重々しい声だった。最上級のアルマーニ、惜し気もなく日差しの暴虐に晒しながら。嘲笑うように、面した道路を通り抜けた四人の少年達を嘲笑って。紅茶とスコーンを運んできたウェイトレスへと、機械のように正確に微笑み掛けて。
丹精な、名匠が魂を籠めて作り上げたかのような美貌に頬を染めたウェイトレスが、喫煙を注意する事も出来ずに恥じ入って逃げ出した。
「多寡が、ルーンの三文字で。相も変わらず、脆弱。矮小……しかし、目立つ行動をとる。流石に、“ヴードゥー教の始祖たる神”は違う」
時計の音は、全てを告げる。嫌が応にも。誰も彼も、神も仏も、預言者ですら、その戒めには抗しえない。現実が、全てを告げる。現実が証明しているのだから、誰にも、貴方にも、それは否定しえない。
「少女。生け贄。さ迷える子羊……か。他者に荷担したところで無意味、無価値。そろそろ、理解して欲しいものだ」
携帯灰皿に灰を落とし、誰かを見詰めて嘲笑うままに。進み続ける針の照り返す、太陽の光とは違う『灰色の光』が瞬くままに。
「さぁ、時計の針は巡る。一秒、二秒。後、どれくらい持つのか。楽しみだな、最期には結局────」
笑う、嘲笑う。針の音を響かせて。僅かに、軋む音を響かせて。
邪悪そのものではあるが、周りの、或いは通りがかる女性、老若を問わずに惹き付ける笑顔であった。しかしそれは、一体誰に向けられたものであるのか、彼以外に知る者は居ない。
「────『夢』は、醒めるだけだと言うのに」
………………
…………
……
漸く昼、解放されて。今日は早番、後は帰るだけだが。約束、そう、約束がある。今朝、届いていたメールが一つ。
「あ、嚆矢先輩、ここです、ここ!」
「あら……本当に来
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