初戦
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「ちょっとやめて、私はアドバイスなんてしてないでしょ。自分で選んだくせに・・・」
「そんなわけだ、お前の仲間が世話になった。感謝する」
シオンはシュピーゲルに礼を言い、立ち上がった。
「さて、そろそろかな」
『大変長らくお待たせしました。ただ今より、第三回バレット・オブ・バレッツ予選トーナメントを開始いします。エントリーされたプレイヤーの皆様は、カウントダウン終了後に、予選第一回戦のフィールドマップに自動転送されます。幸運をお祈りします』
アナウンスの声がドーム内に響き渡ると盛大な拍手と歓声、そして銃声が沸き起こった。
「本選まで上がってくるのよ。こんなところで負けたら許さないんだから」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ」
シノンの言葉にシオンは少し挑発的な口調で返す。
「こ、このッ・・・!」
20秒のカウントダウンを背にシオンはニヤリと不適な笑みを浮かべる。
その笑みは明らかにこの状況を楽しんでいるものだった。
「さぁ、始めようか。BOB、硝煙と弾丸の輪舞を!!」
シオンがそう言い放った直後カウントダウンがゼロになり、エントリーしたプレイヤーが次々と自動転送されていった。
僅かに敵意のある視線を感じとりながら───
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
転送されたのは真っ暗な空間にポツンと浮かぶ六角形のパネルの上だった。
目の前にはホロウインドウがあり、上部には【Shion VS Chris】と表示されている。クリスと読むそのプレイヤーに俺は覚えがなく、まったくの初対面のプレイヤーである。
ウインドウの下部には【準備時間:残り58秒 フィールド:廃れた市街地】と書かれている。右手でメニューを呼び出し、装備ウインドウから《コルトガバメント》と《M945》をセットし、更にショップで購入した《あるもの》を装備して装備忘れがないことを確認し、メニューを閉じた。
俺はふとシノンの表情を思い浮かべる。
武装を選んでいるときの真剣な顔をするかと思えば、バギーに乗ったときのように子供っぽい笑顔も見せる。その表情はどこか昔のエリーに似ていた。彼女もまたエリーと同じく繊細な人物なのかもしれない。
しかし、だからこそ俺は危機感を覚えていた。繊細というのは完璧を求めるゆえに故に壊れやすい、昔のエリーはまさにその状態になったことがあり、ツバキが居なくなってしばらくは自暴自棄になっていたほどだ。
彼女ももしかすると・・・
『あの子のように・・・』
俺は以前助けた朝田詩乃という少女を思い出す。
『いや、考えすぎか・・・』
俺は首を横に振り、再びホロウインドウを見る
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