初戦
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レイヤーだった。
ローブを着てはいるが、決して自分の武器を晒しているわけではない。
「あのプレイヤーは自分のスタイルをあまり見せないようにしている。少なくとも、初戦から対策されることはないだろう。お前は既に理解しているはずだ。『メインアームを晒しているお調子者は、どうぞ対策してくださいと言っているような大馬鹿だ』って」
「ッ!!」
まるで自分の心を見透かされたような気分になった少女は息が詰まるような感じになった。
シオンは微笑をすると、ネームカードを少女に送った。
「この借りは本選で返す、だから必ず上がってこい」
シオンの言葉に少女はピクリと眉間にシワが寄った。少女は立ち上がり、言い放った。
「上等よ。貴方こそ、本選まで生き残りなさい!最後にもうひとつだけ教えてあげるわ」
「ほう、それは?」
「“敗北を告げる弾丸の味”・・・」
『敗北、ねぇ・・・』
シオンは少女の言葉を聞いた後、「覚えておく」とだけ言ってシオンは視線を少女から逸らしながら思った。
『生憎、敗北の味は知り尽くてるんでね・・・。失った辛さの味もな・・・』
「一応名乗っておくわ。それが、いつかあなたたちを倒す者の名前」
シオンとキリトの目下に少女のキャラネームが表示された。キャラネームは【Sinon】───
『シノン・・・』
「俺はシオンだ。お手柔らかに頼む」
シノンはシオンの自己紹介の後に差し出した右手を無視してそっぽを向いた。何か話そうとしたがシオンはそれをやめた。
残り時間が5分となったところでシオンたちのいるボックス席に一直線に向かってくる人物があった。銀褐色の長髪を垂らした迷彩の男性プレイヤーはシオンよりも少しだけ背が高く、肩にはアサルトライフルをぶら下げている。
「やあ、遅かったね、シノン。遅刻するんじゃないかと思って心配したよ」
「こんにちは、シュピーゲル。ちょっと予想外の用事で時間取られちゃって」
どうやらこのシュピーゲルという人物はシノンの知り合いらしく、シノンは柔らかい表情を浮かべた。
「そうなんだ。それで予想外の用事って?」
「ああ、ちょっと、そこのヒトたちをここまで案内したりとか・・・」
シノンは冷たい視線をキリトたちに向けられキリトとシオンは顔を見合わせてから苦笑する。
「どーも、そこのヒトです」
「あ、えーと・・・、シノンのお友達さん、かな?」
「シュピーゲルだったか?勘違いしているようだがコイツは男だ」
「えっ」
シオンの言葉にシュピーゲルは目を丸くする。
「あー、キリトと言います。男です」
「俺はシオンだ、シノンには武装に関してアドバイスをしてもらった」
「そ、そうなんだ・・・」
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