第二章
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。あの方と貴女が釣り合うっていうの?」
「釣り合うという問題じゃないのよ」
愛美の言葉は声に対して次第に優勢になろうとしていた。
「それはね」
「身分が違うのに」
「身分なんてないわ」
それをはっきりと否定した。今度は。
「そんなもの。最初からないわ」
「強がりかしら」
「強がりじゃないわ。修史さんが言った言葉だから」
これはこの通りであった。彼は愛美に対して直接告げたのだ。身分なぞこの世にありはしないのだと。だから愛美が好きなのだと。確かにこう言ったのだ。
「だから。嘘じゃないわ」
「あの方は大学を出ておられるのよ。けれど貴女は」
「それも関係ないわ」
それも否定した愛美だった。
「それも。関係ないわ」
「あらあら」
声は愛美の今の言葉を聞いてからかうようにおどけてみせた。
「そうなの。尋常学校と帝国大学は同じなの」
「それで人はわからないから」
愛美の言葉はまたしても強さを増した。
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