第二十四話 麗しき和服その十七
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「そうなるぜ」
「終わるって」
「ああ、桜ちゃん勝つぜ」
桜が勝ってだ、勝負が終わるというのだ。
「そうなるぜ」
「どうしてそう言えるの?」
「まあ見てなって」
「?」
裕香は薊の桜が勝つことを確信している理由がわからなかった、それで思わず首を傾げさせた。しかしだった。
怪人の攻撃は続く、かすっただけでも死ぬそれがだ。
桜はやはりテニスの動きでかわしてだった、攻撃を放つが。
それは全て怪人の盾に防がれる、勝負は進んでいない様に見えた。
だがここでだった。
怪人がまたしても茎を手の平から放った、そして桜はまたステップでかわして攻撃を放ったがここで。
その剣から放った刃がだった、一つではなく。
一度に七つ放たれた、七つの刃がそれぞれカーブやシュートの動きでだ。
怪人に襲い掛かる、それはこれまでの直線の動きの風の刃に慣れていた怪人の目が追いつけるものではなく。
怪人の身体を切り裂いた、そして。
その背中に桜の星の符号が彼女の色である桃色で出た、それを見てだった。
薊は裕香にだ、にやりと笑って言った。
「なっ、あたしの言った通りだろ」
「う、うん」
裕香は驚きと共に薊に答えた。
「そうね、勝ったわね桜ちゃん」
「そうだろ」
「けれど」
勝った、だがと言う裕香だった。
「どうしてそれがわかったの?」
「桜ちゃんが勝つってか」
「ええ、それはどうしてなの?」
「それはな」
「私からお話します」
己の符号を背に出した怪人を見つつだ、桜が言った。
「そのことは」
「ああ、そうするのか」
「はい、今から」
「僕も聞きたいね」
敗れた怪人からも言って来た。
「どうして僕が敗れたのかな」
「はい、それは」
「それは?」
「貴方の攻撃は確かに恐ろしいものでした」
「かすっただけで終わりだからね」
「そうです、しかし」
それでもだというのだ。
「貴方の攻撃は全て直線でした」
「だからっていうんだね」
「その動きは読みやすかったのです」
そうだったというのだ。
「そして貴方の防御も」
「盾もだね」
「前に構えておられるだけだったので」
「それさえわかれば」
「後は風の動きを変えれば」
普段の直線ではなくだ。
「そのうえで数も増やせば」
「倒せると思って」
「そして攻撃を放ったのですが」
それが、というのだ。
「正解でしたね」
「そういうことだったんだね」
「はい、私の勝ちですね」
「うん、残念だけれどね」
怪人は己の敗北を素直に認めて答えた。
「そうだよ」
「それでは」
「僕は己の毒に驕った様だね」
「それが単調な攻防になったというのですか」
「そうだよ、そして君は違った」
「驕ればそれで終わります」
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