第26話 初陣 その6
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られているんだ」
ゲリラ戦に識見のある相手が逃走している以上、例え第一艦隊や独立巡視艦隊を動員したとしても、捕縛することはかなり難しいだろう。動かない星系内根拠地に関しては徹底的に洗い出されるだろうが、ロバート=バーソンズ一人を逃せば、また別の場所で彼は同じ事をする。むしろもっと過激になるかもしれない。
「だから私としては彼が自首してくれることを望んでいる。軍部も情状酌量を政府に依願することも出来る。そうなれば最小の犠牲で結末をむかえられるからな」
ブロンズのそんな独白に、僅かな政府に対する批判の粒子が含まれていることは、俺にも理解できた。だが彼が幾ら政府に批判的だからといって、弱者救済を否定するクーデターになぜ参加したのかまでは、俺には察する事は出来なかった。
そうしてブロンズ准将とのシャトル内の会話を終えた俺は、地上に到着すると今度は手錠なしでシャトルから降り、ケリム星区憲兵本部へと向かうことになる。ブロンズ准将はそれには同行しない。ブロンズ准将の姿が万が一ケリム星区憲兵本部で目撃されては、カーチェント中佐やおそらく別の巡視艦隊に潜んでいる情報将校の活動に問題が出るからだろう。シャトルはブロンズ准将を乗せたまま、再び射出場へと移動していった。
それから三日。俺は憲兵本部で寝泊まりする事になる。幸いにして留置所ではなかったが、二日連続会議室で憲兵の調査官と取り調べに近い意見交換をしたときは、さすがに胃が痛くなった。エジリ大佐とは結局会えずじまいで、解放された俺を迎えに来てくれたのは、リンチ一人だった。
「結果として俺がエジリを見誤っていたし、見抜くことは出来なかった。指揮官としては失格だな」
無人タクシーの中で、リンチは呟くように俺に言った。
「それに海賊の調査の為、エジリが貴官に協力……まぁ監視か誘導かは分からないが、近づけたことで貴官にも迷惑を掛けた。済まなかった」
「いえ、これはもうどうしようもありません」
リンチがもう少し柔軟であったとしても、神なき身である以上、エジリ大佐の行動を察知できるとは思えない。むしろカーチェント中佐を変なふうに巻き込むことになり、話は余計ややこしく、解決までに相当な時間がかかっていた可能性もある。
「……第七一警備艦隊司令部は解散することになると宇宙艦隊司令部から内々で連絡があった。戦艦ババディガンや他の艦長クラスにも禁足が命じられた。今回の事件に一定の目処がつき次第、多くの者が別の任地に赴くことになるだろう」
「そうですか……残念です」
「丁度二月で人事異動の時期には重なるが、八月までには新司令部を発足させたいとの事だ。つまりそれまでに部隊の引き継ぎや、残務・資料整理を行えということだろう。結局、貴官とは一度しか作戦行動を共に出来ず、資料整理ばかりやらせることになっ
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