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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第26話 初陣 その6
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集を任務とし、その方面で充分な功績を挙げていた。
 ただ将官への昇進で、もはや悪弊と言っても過言ではない士官学校生優位の不文律により、准将に昇進した時にはもう次の昇進は不可能な位の年齢だった。結果、准将で退役した時、彼自身不満を抱えていたようだが、海賊集団の親玉になるほどではなかったらしい。
 鬱屈とした日々の中で、彼を海賊の親玉に走らせたのが、退役兵、とりわけ捕虜になったり、重度の障害を負って退役せざるを得なかった者達の、悲惨な境遇を目にしたからだ。帰還捕虜は厳しい帝国内矯正区での生活で荒んでいたし、障害者は擬似生体の購入や精神病院への通院等で貧困にあえいでいた。
 彼は直ちに故郷のケリム行政府に退役者の待遇改善を訴えたが、財政難で行政府は応えられなかった。さらに同盟政府にも訴えたが……行政府どころではない深刻な財政問題で苦しむ政府は首を縦に振ることが出来ない。彼は考えられる限りの事を試みた。財団の設立や各企業への支援要請、最後には政治家への立候補など。だが退役兵はただでさえ年金をもらっているのに、さらに支援しろというのは虫が良いと企業には断られ、当選もできなかった。
 結果として彼は手段を暴力的なものへと変化させていった。実戦で鍛えられたゲリラ戦の指揮能力を存分に生かし、標的艦として廃棄処分予定だった艦船の一部を奪い、財団設立の際に得た繋がりで同志を集めて、商船への攻撃を開始する。
 その一方で、得た財貨でケリム星域の最辺境アグルシャプ星系に土地を少しずつ購入し、そこに重度障害者や戦闘行為には参加しない退役兵をやはり少しずつ集め出した。現地行政府の役人もうすうす気がついてはいたが、事実上黙認していた。むしろケリム行政政府に感づかれないようと手助けすらしていた。ケリム行政府にしても投入される税金の方が税収より遙かに大きい辺境星系の事など気にも留めなかった。なにしろケリム行政議会に議員を送り込めるほどの人口がなかったからだ。

「あとは君の推察通りだろう。エジリ大佐のような軍内のシンパを通じて、機密を入手し船団勢力を維持していけばいい」
「……エジリ大佐はどうやって『ブラックバート』との連絡を取っていたのでしょうか。第七一警備艦隊はネプティスを出航後、完全無線封止を実施していました。艦艇間の光パルス以外、一切の通信が出来ませんが」
「その時点で本人が連絡を取る必要はない。事前に動きがあることを伝えておけば、後は戦艦ババディガンがネプティスに入港する、それを知るだけで海賊に警報が出る」
 ブロンズは含み笑いを浮かべて俺に応えた。
「軍の退役者には多くの技術者がいる。艦隊の乗組員が多い以上、艦船運用関連技術者は当然多い。彼らのうちまだ若く健全で充分に働ける者の過半が宇宙港などに再就職している。管制・整備・補給・航路掃宙など隠れようと思えば何
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