第26話 初陣 その6
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見て、再び溜息をつく。
「ボロディン中尉は一切関与していない。拘束するならば私一人で充分ではないか?」
「命令です。異存がおありなら、軍法会議の場で」
憲兵中佐は冷徹にエジリ大佐に応じると、武装憲兵を顎で指示し俺と大佐の両腕を後に廻し、手錠をかける。
え、手錠? ナンデ? ナンデオレマデ、テジョウナンデ?
一瞬カーチェント中佐が俺に目配せをしたのは間違いない。だが現実は俺の両脇には武装憲兵がいて、しょっ引かれている。すれ違う戦艦ババディガンの乗組員が驚愕の目で引っ立てられる俺達を見ている。シャトルの発着所で、ラブロック中佐とドールトン准尉の姿を見たような気がするが確認はできない。不思議なのは俺と俺を拘束する憲兵四名は、エジリ大佐や憲兵中佐の乗るシャトルとは別のシャトルになったことだ。
シャトルに乗り込んですぐ俺は手錠を外された。手錠を外した武装憲兵に視線だけで「良いのか?」と確認すると、軍曹の彼は無言で手錠をポケットにしまい込み、シートを指し示してから敬礼してシャトルの先頭方向へと行ってしまった。手持ち無沙汰で俺がシャトルのシートの間に立っていると、武装憲兵が去っていった方向から一人の軍人が歩いてきた。准将の階級章をつけている四〇代前半の男だった。
「災難だったな、ボロディン中尉」
敬礼が交わされた後、収まりの悪い明るいブラウンの髪を持つ准将は笑顔で俺の前のシートに座ると、俺にその隣に座るよう指し示した。俺がその横に座ると、身体を傾けて左手を差し出してくる。
「君には嫌な思いをさせたが、こうでもしないと事の真相を話せそうにないと思ったからな。小官はテリー=ブロンズ。統合作戦本部情報部で第九課課長をしている。カーチェントの上司だと思ってくれればいい」
「は、はぁ」
気軽に手を差し出してくる原作登場人物に、俺は手惑いつつもその手を取る。ブロンズ准将の手は情報将校にしてはガッチリとしていた。しばらくするとシャトル発進のアナウンスが流れたので、俺もブロンズも黙ってシートベルトを掛ける。シャトルが振動と共に戦艦ババディガンのハッチから微加速で射出されて数分後、窓の遮光カバーが外された。ブロンズ越しに戦艦ババディガンの船体がゆっくりと傾いていく姿が見えてくる。
「さてどこから話そうかな」
准将とは思えない気さくさでブロンズは顎を撫でながら、シートを傾けて天井を見ながら言った。
「まずは『ブラックバート』団の正体だな。彼らは中途退役した同盟軍将兵で、エジリと同様専科学校から這い上がった古強者だ。指揮官はロバート=バーソンズ。最終階級は准将」
彼、バーソンズ准将は少数艦艇による特殊戦……すなわち敵地におけるゲリラ戦の専門家で、ティアマト、ヴァンフリート・アルレスハイムといった星域で、敵補給線の寸断や情報収
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