≪アインクラッド篇≫
第一層 偏屈な強さ
ソードアートの登竜門 その参
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で換算したら暗黒物質の四倍以上の量だろう。それに味も暗黒物質よりもまずい筈だ。暗黒物質のほうは泣くほど不味い料理ではない。
気の毒に思いながらも冷静に≪コノスパゲッティ≫についての情報を纏めていると、インディゴは言葉を粗雑に投げかけてきた。
「ぐぅ……もっと……喋りなさいよ……気が……紛れるから……」
「お、おう。じゃあ喋らせてもらおうかな」
話したいことは、実はある。俺がこの席に座ったのはただの野次馬というだけではない。ひとつ知りたい情報があったからだ。その情報は俺に必要のない情報ではあるが、いかんせん、一人のMMOジャンキーとして知っておきたいことだった。
「そのカイトシールド、どこで手に入れたんだ? 俺、色々情報集めてるけどそんなの知らないぞ?」
「……これはね、≪亜人の騎士≫っていうクエストのボスドロップ品よ……ついさっき即席パーティー組んで……運良く……」
そこまで言って口にスパゲッティ(のような物)を含む。十数秒の間、苦悶の表情を出したり引っ込めたりしたあと、言葉を続けた。
「……六度目のチャレンジのラストヒットボーナスでドロップ。ほかに持ってる人はいなかったからレアドロップでしょうね」
「六度目!? もしかして君って超強い?」
「……これには負けるけどね」
そういって口にスパゲッティ(ではない謎のなにか)を含む。苦しさのあまりか拳をテーブルに何度か弱弱しく叩きつける。
「まぁ……次からは気をつけろよ……店主のこだわりのせいでこの料理店は料理のフルネーム言わないとマトモなのは出てこないから……」
「それ、頼む前にいって欲しかったわ……」
「寝オチ……いや、寝ぼけててさ……まぁ……ドンマイ……」
知りたいことも知ったし、離席しようかなぁ、なんて思ったが特に用事もなく眠気も吹き飛んでいた俺は食事を最後まで鑑賞することにした。
一時間後、俺の予想の半分の時間でインディゴは完食した。大した精神力だ。野次馬である俺としては、なにかねぎらいの言葉をかけるべきだろう。
「まぁこういうのものRPG醍醐味だよなぁ」
ねぎらいの言葉なんか出るわけがなかった。出てきたのはゲーマー特有の負け惜しみ定型文だった。
「賛同しかねるわ……というかなんでこんなに不味いものがあるのよ……おいしいものだけでいいじゃない……」
「あ〜、聞いた話によると食事のデータはどっかの会社からの貰い物らしい。多分だが、その中にマズい味のデータがあってSAOスタッフが『使わなければ勿体無いよね』とか言って適当にぶち込んだんじゃないか? もともとゲームとしてのSAOで食事なんてあまりしないだろうし、それでよかったんだろうな」
俺の言葉にインディゴは少し反応に困るように顔を歪めたのち、ひと
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