暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos47律のマテリアルO/氷災の征服者〜Oighear The Fearbringer〜
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†††Sideルシリオン†††
残滓であったプリメーラをひとり残し、俺は両脇にアミティエとキリエを抱えて空を翔ける。プリムと砕け得ぬ闇が戦闘を開始したのか、とんでもない魔力波が後方から何度も襲ってくる。
「こちらルシリオン。アミティエとキリエ、フローリアン姉妹の確保に成功した。共に深刻なダメージを受けている模様。アースラへの転送を願いたい」
『判った! そのまま臨海公園へ向かって!』
アースラに繋げた通信に応えてくれたアリシアから指示を受ける。俺は「了解だ」と応じて通信を切る。ここでキリエが「ごほっ、ごほっ、放して・・・!」俺から離れようと身動ぎを始めた。それを止めるのが「もう、やめなさい、キリエ」彼女の姉であるアミティエ。
「悪いようにはしない。きちんと負った傷も治そう。だからもう、無茶はするな」
「U-Dの突進を受けて、あなたの体内は酷いことになっているはず・・・」
俺に続いてアミティエもそう諭すと、キリエもそれが解っているからか身動ぎを止め、大人しく俺の腕に身を任せた後、2人の意識が途切れた。張り詰めていた緊張の糸が切れたんだろう。
そうして臨海公園へ到着した俺たちは、そこから転送されてアースラへと乗艦することに。大人数を一度に転送させるためのアースラのトランスポーターへと着くと、「お疲れ様だ、ルシル」労いの言葉をかけてくれたクロノと、ストレッチャー2台を用意していたティファレトの他、女性看護師2人、計4人が待機していた。
「状況は?」
フローリアン姉妹をそれぞれのストレッチャーに横たえさせながらクロノに訊ねる。クロノの側にはモニターが1枚展開されている。おそらくさっきまでのことを観ていたんだろうと判断しての問いだ。
「君と一緒に居た残滓と思われる女性だが、つい先ほど砕け得ぬ闇――システムU-Dの攻撃を受けて消滅した。彼女は、君の知人か・・・?」
「・・・ああ、とても大事な女性だよ」
俺はそう詳しく答えなかったがクロノはただ、「そうか」と一言だけで話を切ってくれた。その気遣いに「ありがとう」と礼を言う。そんな中、「クロノ執務官。少しお話が」とティファレトがクロノへと歩み寄った。
「私の治癒はあくまで人間――ひいては肉体を持つ生物にのみ作用する力です。ですが、彼女たちはどちらかと言うと・・・」
言い淀んだティファレト。アミティエの折れた腕の断面から覗く機械部品を見て考える仕草を取るクロノ。俺はそれを黙って見ている。とここで「ドクターに協力要請する?」と声を掛けて来たのは、アクアブルーの長髪を揺らしながらこちらに歩いて来ているシャルだった。
「モニターで観てたけど、アミティエさん――というよりはフローリアン姉妹ってどちらかと言えばドクターの分野だと思うんだけど」
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