22:この中の誰かが
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だが、俺の考えでは、あの中に確実に犯人が存在するのだ。するはずなのだ。
「クソッ……」
――死神、お前は何者だ。
――なぜ、こんなことをする。
――なぜ、数多くの人を傷つける。
――なぜ、そこまでしてユニコーンを付け狙う。
――なぜ……俺達に見せる顔とは違う、そんな偽りの仮面を被り、己の素性を隠している。
…………俺には、それが分からない。
「…………ハ、ハハッ」
ついには、自分には少なくとも探偵職は向いてないと自覚し、大して面白くもない笑いが知らず知らずのうちに漏れていた。
◆
……次に目を開いたのは、セットした脳内タイマーが鳴り響いた直後だった。いつもより随分早めにセットした、朝の六時。
早寝が功を奏した多めの睡眠のおかげか、昨夜と違って頭の中が非常に快活だった。ベッドから立ち上がり、カーテンを開け、木枠でガラス張りの窓も全開にする。まだ少し冷たい空気を運んで来る外は相変わらず深い青の薄暗さだが、若干上空の霊木の枝の間から日の光が差し込み、いつもの時間帯とはまた違う神秘的な朝景色を供してくれていた。
それからさっさと身支度を済ませ、一階に降りる為に階段へと向かう。
……だがその途中、ふと階下に人の気配が無いことに気付いた。
恐らくアスナ達はまだ降りておらず、マーブルも奥のキッチンで朝食でも作っているのだろうか。そんな事を思いながら階段を降りる。
……かと思えば、マーブルは一階フロアに居た。というか、昨日居た位置と全く同じ場所、ソファに座っていた。
そしてどういう訳か、俺の登場にもなんのリアクションも返してこない。
「…………?」
怪訝に思い、いくらか歩み寄ってよく見てみると……俺は思わず苦笑した。
マーブルはソファに座ったまま、寝息も穏やかに眠っていた。
彼女は常時糸目で、眠っている時の表情の差が少なかった。
「マーブルさん、朝ですよ」
発声練習がてら、やや張った声で言ってみる。するとピクッと肩が浮いて、僅かに伏せていた顔がゆっくりと俺を捉える。
「…………あら、やだ」
再び俺は苦笑し、その後互いに朝の挨拶を交わして、マーブルが困った顔で気恥ずかしげに頬をほんのり染める。
「あー……もう、本当にイヤになっちゃう。あのまま寝てしまったみたいね、私……。お客様も滅多に来ないから、すっかり朝のタイマーのセットを忘れてたわ。ごめんなさい」
「ハハハ、商人じゃないですけど、俺もよくありますよ」
尚も「お客より遅起きなんて……ああ、店主失格ね……」と羞恥に身悶えている様子だったが、失礼して俺は言葉を投げ掛けた。
「あの、マーブルさん。ユ
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