暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校の神童生
Episode31:暗躍
[10/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
作戦を思い出して表情が引き攣る隼人に、そんなことを知らない二人は疑問符を浮かべていた。

「あ、そういえば隼人の衣装届いた?」

「うっ…!」

「……衣装?」

思わず呻き声を漏らした隼人に、エイミィは首を傾げた。

「うん。ピラーズ・ブレイクの隼人の衣装。実家から届けさせたんだけど」

「うん。トドイタヨ。あの無駄にビシッとしてるヤツ」

「よかったよかった。やっぱ隼人の正装と言ったらアレだもんね!」

隼人とエイミィの二人だけで交わされる会話に、雫は付いて行けずに若干頬を膨らませていた。それでもなんとか会話に割り込む隙を伺っている辺り、雫も負けず嫌いだというか。

「…隼人の正装って?」

「ヒ・ミ・ツ!」

「ごめん雫……なるべく言いたくないんだ…」

その拒絶に、雫は隼人の足を踏むのだった。

「ああ、そうだ。隼人、頼まれていた物だ」

そう言って、生暖かい眼差しのまま達也が隼人に手渡したのは一組の黒色のグローブ。

「お、ありがとう達也」

「可能な限り注文には応えるようにしたぞ。調整してみて不具合があったら今日中に言ってくれ、明日までには間に合わせるから」

隼人のCADであるシルバー・フィストは、製作者である達也にしか整備できない。しかし達也は隼人の担当エンジニアではないため、こうして時間外にやってもらうしかなかったのだ。今度なにか奢るということで依頼を取り付けたため、少々懐が寒くなってしまうだろうが、まだ貯金は大量にあるので問題はないだろう。

「特化型?」

「ん、まあそんな感じかな? これじゃないと普段の力出せないんだよね」

シルバー・フィストは擬似的に魔法式を作り出し投射するCADである。イメージで発動させた魔法は現れるはずの魔法式が現れない。
魔法式が現れない魔法を隼人が扱える、それがバレれば各方面から狙われモルモットにされる未来へマッハな為、『擬似魔法式投射特化型CAD』を天下のシルバー様に作らせたのだ。
という事情を言うこともできないので、雫の質問に曖昧にしか返すことができなかった。
そして隼人の言葉を一つ訂正すると、このシルバー・フィストであっても隼人の魔法の邪魔をしている。隼人が最も力を発揮できるのはCADなどに頼らない全くの素手の状態であり、シルバー・フィストでは、態々投射するための擬似魔法式にマルチ・タスクの一つを使っているのだ。

「…ん、特に問題はないよ達也。流石だね」

グローブを嵌めて感触を確かめても、以前と遜色がなかった。やはり流石というべきだろう。世界最高峰のデバイスエンジニア、トーラス・シルバーの名は伊達じゃないということだ。

「その特化型だけでピラーズ・ブレイクに出るの?」

「いや、あと一つあるよ。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ