Episode31:暗躍
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
「期待してるわよ、隼人クン」
「九十九なら心配はいらんと思うがな」
「う…お、お腹が…!」
鈴音、真由美、克人の3人がかりでプレッシャーを隼人に上乗せしていた。
鈴音と真由美は絶対に確信犯だから反論の余地はあるものの、克人の場合は本心からそう思って純粋にプレッシャーをかけてくるのだからタチが悪い。
「ただ、十分に気をつけろよ九十九。今回の大会、もしあの事故が人為的なものだとしたら被害者が渡辺だけで終わる可能性は低い」
「……わかってます。警戒を怠るつもりはありません」
摩利の事故の犯人は無頭竜だと粗方調べがついている隼人だが、それを克人や一高の首脳陣に言う事はなかった。その理由は簡単だ。
『無頭竜』といえば世界的に有名な犯罪シンジケートの一つ。武器密輸など以前からも危険な組織だったが、前にあった世界中の魔法犯罪者の一斉参加でその危険度は膨れ上がった。
今や九十九家ではブランシュを差し置いて第一級警戒組織となっている。
そんな組織が暗躍していることを無作為に伝えたとなると、多くの生徒に混乱と恐怖を与えることになるだろう。それは免れなければならないし、目の前にいる一部の信頼できる人たちだけに話したとしても、どこからか情報が漏れて無頭竜がこの人達になにか仕掛けてくるかもしれない。
そもそもなぜただの高校生であるはずの隼人がそんな重大な事を知っているのかという問題が起こってしまう。勿論、「九十九は暗殺一家なんでそういう情報には敏感なんですよー」なんて言うわけにもいかない。情報の秘匿は優先度が高い。
やはり、なるべく早く無頭竜を始末しなければならないらしい。
「そういえば隼人くん。あの事故があった時に摩利と七高選手がフェンスにぶつかる勢いを軽減したのは隼人くんの魔法だと聞いたのだけれど?」
「ああ、はい。咄嗟に慣性中和魔法を使いました。勢いを殺し切れはしませんでしたが」
「…あのタイミングでよく間に合いましたね」
「いえ、みなさん知ってる通り俺の目はイデアを覗けるんですよ。一般には精霊の眼と呼ばれてますが、九十九は世界の心眼と呼称しています。
委員長の事故が起こる前、俺はこの眼で七高選手の魔法発動ミスに気づいて、予め対策を用意していただけの話です」
「それにしても、よくあんな離れた場所から的確に座標指定できるわね」
「それもこの眼のおかげですよ。この眼には会長のマルチスコープにも似た効果があるので」
「ふぅん…なにはともあれ、感謝するわ隼人くん。貴方のお陰で、摩利も七高の選手もそんな酷い怪我にはならなかった」
「いえ、当然の事をしたまでですよ」
もっと発動スピードが早ければ勢いを完全に殺すこともできただろう。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ