Episode31:暗躍
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分かりませんでしたが、あの加速魔法の発動スピードは私以上のものでした」
エリナの加速魔法は、かつて俺でも追いつくのがやっとのほどだった。それよりも早いとなると、警戒しなければな。
「あ、あと……」
「ん?」
もじもじと、何か言いにくそうにエリナが両手を合わせていた。一体どうしたというのだろうか。
「…尾行してるの、バレちゃいました」
「……ていっ」
てへっ、と可愛らしく舌を出したエリナに軽く手刀を振り降ろす。
「顔バレは一番避けてねって言ったじゃないか」
「いたた…いや、不意をつかれたと言いますか、油断していたといいますか…」
どんどん聞こえなくなっていくエリナの言い訳に、溜息をつく。
自称あまり戦闘が得意じゃないエリナにとって、顔バレはかなり危険な状態に立たされたということだ。奴ら自身の戦闘力はどうとでもなるとしても、外部の魔法師を雇ってくる可能性もあるし、奴らがどこかと組んでいる可能性もある。
けどまあ、ちょうど良いか。
「まあ、バレちゃったんなら仕方ないさ。丁度エリナへの依頼は終わったから、少しお休み。エリナはもう行動を起こさないこと。あとなるべく一人にならないこと」
「あ、はいっ」
ここから先は俺の仕事だからね。なるべく早く、奴らを潰す。とはいえ、やっぱアジトに足を踏み入れて制圧するのは新人戦が終わるまでは厳しそうだな。でも、始末が遅れれば遅れる程被害は大きくなる。
…新人戦終了まで、被害を防げるか?
「あ、そういえば。エリナってここに一人で来てるの?」
「まさか。取材と称したさぼりの編集長と一緒に来てますよ」
「…あ、そうなんだ」
エリナの雑誌社はそんなんで大丈夫なんだろうか?
ともあれ、これで準備はできた。奴らには、たっぷりとお礼をしてやらなきゃね。
☆★☆★
大会四日目
今日から本戦は一時休みとなり、これから五日間、一年生が主役の新人戦が行われる。
ここまでの成績は一位が一高で320ポイント、二位が三高で225ポイント、三位以下は団子状態の混戦模様。やはり例年通り、一高と三高の優勝争いとなりそうだ。
ポイント的には一高が大幅にリードしているが、この新人戦の成績以下ではどうなるか分からない。三高が新人戦で一高に大差をつけて勝利すれば、一高の覇権も危うくなる。対してそれほど大差をつけられなければ、一高は総合優勝に大手をかけることになる。
新人戦の結果が、どの学校も重要だと考えているはずだ。
それは一高も同様でーー
「いいですか、一年生のエースである九十九さんには皆が期待しています。体調不良などといった自己管理不足で万全の力が出ないという事態がないようにしてください」
「うぐっ…りょ、了解です
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