Episode31:暗躍
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には十分な変化。
その変化によって、摩利の足元を刈り取ろうとしていたボードを側方へ弾き飛ばすことには成功したが、もう一つの感性中和魔法は発動が遅れ、そのまま七高選手が摩利に激突した。
「達也!」
「ああ」
隼人が右手を掲げ、達也が席を立つ。驚く友人達を余所に、隼人は遥か遠く離れた二人に向けて、間に合わないはずの感性中和魔法を発動させた。しかし、間に合わないのは常人での話。深雪をも凌駕するスピードで発動された魔法は、確かに摩利と七高選手の吹き飛ぶ勢いを減らしてみせた。
だが咄嗟に発動された魔法は幾ら隼人でも万全な効果を発揮することができず、吹き飛ぶ勢いは軽減されたものの、摩利と七高選手はそのままもつれ合うようにフェンスへ飛ばされた。大きな悲鳴が幾つも上がる。レース中断の旗が振られた。
「……遂に仕掛けてきたか。クソ…っ」
思わず隼人は舌打ちを漏らした。
七高選手のオーバースピードは明らかに魔法の発動ミス。それも外部からの人為的なものなのは明らかだ。恐らくはCADになにか細工をされていたのだろう。でなければ、隼人が視たなにかが弾けるような発光現象に説明がつかない。
無頭竜による工作。警戒していれば防げていたはずだと隼人は自身を責めずにはいられなかった。
「…隼人?」
そんな隼人の様子を怪訝に思ったのか、雫が隼人の顔を覗き込んでくる。
「あ、ああ、ごめん。なんでもないよ」
友人に心配をかける訳にはいけないと、隼人は無理に笑顔を浮かべた。
雫はそれに気づいたが、敢えて追求するようなことはしなかった。
☆★☆★
委員長と七高選手の事故があった日の夜、俺はホテル最上階の展望エリアを訪れていた。昼間はちらほらと寛ぐ学生の姿も見られたが、夜となってはみな部屋に戻って明日に備えているだろう。
かく言う俺も明後日から自身の競技が始まる為、そろそろ準備を始めてもいいのだが、俺には競技の他にもやるべきことがある。
「お待たせしましたー」
「わっ」
なんて呑気な声で天井を透過してきたエリナを受け止めて地面に降ろす。全く、どこから来るのか分からないから彼女は心臓に悪い。
「無頭竜のアジトの場所が分かりました」
「ん、聞かせて」
人影はないが、なるべく誰にも聞かれないようにエリナを伴ってバルコニーへ移動する。
「ここにありました」
そう言ってエリナが手渡してくれたのは一枚の紙切れ。そこに、今回の標的のアジトの住所が書いてあった。
「……中華街の高級ホテルの最上階か。少しやりにくいな」
「そうですね、警備も厳重でしたし。それに、17号と呼ばれた奇妙な魔法師もいました」
「17号…? なにかの実験体?」
「詳細は
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