Episode31:暗躍
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音の姿を見ていたのだ。
「始まる」
雫の呟きに、全員が視線をフィールドへ向けた。
☆★☆★
試合開始の合図と同時に、地鳴りが生じた。
それは花音が発動させた『地雷源』という振動系統・遠隔固体振動魔法によるものだ。
魔法の特性において、その才能は親から子へ遺伝することが分かっている。そのため、一族でほとんどの人間が同じ系統の魔法を得意とし、同じ系統の魔法を不得手としていることが大多数だ。
『四葉家』という、一人一人の特性がまるで異なるという例外も存在するが、それは例外であり、極稀だ。
ただし、『九十九』においては出自・系統全てが特殊であるため、四葉家とはまた違う例外として区分される。尤も、そのことを知っているのは極一部の人間だけで、一般的には七草家と同じ『万能』と認知されているが。
七草や九十九の『万能』のように、有力な家柄にはその魔法系統によって二つ名がつけられることがある。
有名な所では、十文字家の『鉄壁』に、一条家の『爆裂』など。
それと同じようにつけられたのが、千代田家の『地雷源』だ。
振動系統・遠隔固体振動魔法。
土、岩、砂、コンクリートと材質は問わず、とにかく『地面』という概念を有する固体に強い振動を与える。
花音の発動させた地雷源によって、直下型地震のような上下の振動が相手氷柱に叩き込まれ、一度に二本ずつ倒壊していく。相手もやられっぱなしというわけでもなく、『強制静止』という移動速度をゼロにする魔法で抵抗を試みるが、ランダムで襲い来る振動に、切り替えが追いついていない。あっという間に5本の氷柱を倒されて防御が無駄だと悟ったのか、相手は防御から攻撃に優先度を傾けた。
「あら?」
「なに?」
「?」
達也たちが三者三様のリアクションを浮かべる中で、五十里と隼人が苦笑いを浮かべていた。
あっさりと倒されていく花音自陣の氷柱を見て、五十里がやれやれと首を振る。
「思い切りがいいというか大雑把というか…倒される前に倒しちゃえ、なんだよね。花音って」
「いえ、まあ……戦法としては間違っていないと思いますが」
自陣残り六本と、半分まで減らされた所で、花音は敵陣の氷柱を全て倒し終えた。
☆★☆★
「ふぅ…」
達也たちと別れた俺は、一人で自室へ戻ってきていた。幾分かこの眼の力を制御できるとはいえ、活性化されたサイオンの奔流を見続けているのは流石に辛いものがあったのだ。
「これも、完全に制御できるようにならなきゃな」
最近になって、特に高校へ進学してからは強敵と遭遇することが多くなってきている。にも関わらず、サイオン酔いをして万全な体調で臨めないなど、目も当てられない状況だ。冷静に考えてみると、結構深刻な問題だ
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