”狩人”フリアグネ編
終章 「断罪」
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戦えないわね。
足はしばらく使い物にはなるまい。痛みを通り越し、その足の存在すら少女には感じ取る事が出来なかった。
――けど、これで終わり。都喰らいはお終いよ。
「あアぁあァぁアアァ――――!!」
虚空にフリアグネの慟哭が響き渡る。
それが、腕の痛みが故ではないことを少女は理解していた。
大切な存在を永遠に失ったが故の悲しみ。己が失態が招いた結末。行き場のない怒り。その全てが織り交ぜられた慟哭だった。
膝を折り慟哭するフリアグネを見る少女は、彼女自身が不思議に思う程、複雑な感情になっていた。
大切な存在の為に命を賭ける。自らの正義の為に悪を成す。そこには徒やフレイムヘイズ、そして人間だろうと違わないのだろう。
使命の為に生きる彼女にとって、それは全く異質な考えと言える。
「何故だ……。どうして、お前に……。フレイムヘイズにマリアンヌを奪われなければならない」
怒りを憎しみを悲しみをも越え、抜け殻の如く虚ろな瞳のフリアグネが少女を見つめる。
戦闘の続行が不能だと気取られないように、上半身だけを使って少女は起き上がろうとする。しかし、既に限界を超えた少女の身体は少女の意思に従わず、不格好に足掻くことしかできなかった。
「答えろ…………、フレイムヘイズ」
「言うまでもないわ。私がフレイムヘイズだからよ」
少女は答える。彼女にとって当たり前の解答を。だが、そう答える彼女の心は、果たしてそれだけで良かったのか、とも思っている。
「確かに……そうだったね。流石はかの炎髪灼眼の討ち手だ。この敗北は君をおちびちゃんと馬鹿にしていたが故か……。何が"狩人"だ。マリアンヌを失ったというのに――」
フレイムヘイズにすら勝てないのか、そうフリアグネは続ける。
「それは違うわ」
「何が違うと言うんだ。マリアンヌを失い、都喰らいも失敗した。全て君の性なんだ」
「お前はエミヤシロウっていう一人のミステスに負けたのよ」
そう少女に言われ、フリアグネは少年が居た場所を見る。
未だ爆炎は晴れず、炎と黒煙だけがそこにあった。
「―――そうなのかもしれないね」
自嘲気味に笑い、立ち上がるフリアグネ。その表情には何故か笑みが浮かんでいた。
まるで憑物が落ちたかの如く吹っ切れた顔は、逆に恐怖を少女に感じさせる。
「僕の負けだよフレイムヘイズ。だがこれで終わる訳にはいかないんだ」
フリアグネは残された右腕で懐から拳銃を取り出し、少女に向ける。
「この拳銃はフレイムヘイズ殺しのものだ。撃てば君はたちまち爆発するだろう。天罰神を宿す君の爆発はおそらく街を吹き飛ばす程のものになるだろうね」
ゆっくりと引き金に指をかけるフリアグネ。
「都喰らいの為に、この銃は使えなかった。いや、君の爆発に僕は恐怖していたのかもしれな
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