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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第24話 初陣 その4
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き直った。それを見てエジリも少し離れた位置に丸椅子を持ってきて腰を下ろす。

「軍人として君が出世して、世界が平和になると思っているのかね」
 いわゆる老軍人が若い士官を相手に世間の厳しさを教えてやろう……とでも考えているのだろうか。俺はその質問に口を開かず、視線だけでエジリを促す。それに気がついたエジリは「ふぅむ」と喉を鳴らすと、残り少ないグレーの髪を掻きながら、まぶたを細めて俺を見る。
「軍人として出世したところで、やることは“効率よく敵を殺す”仕事に従事するだけだ。例え正規艦隊司令官になろうと、統合作戦本部長になろうと。後方勤務本部長だって、人殺しの手伝いをしていることにかわりはないのだがね」
「仰るとおり軍人の仕事とは人間の罪悪である人間を殺すことです。ですから軍人の仕事がなくなるよう、あるいはごく少なくなるよう社会を作り上げる必要があります。つまり『戦争を止める』んです」
「戦争を止める? そんなことが出来るとでも?」
「出来ると思いますし、その為にどんな小さな事からでも努力していきたいのです」

 この老軍人と俺との間に横たわるのは、戦略論と戦術論のすれ違いと殆ど同じだろう。老人が産まれる前から同盟と帝国は戦争してきた。その戦争状態が『経験上』今後も続くと考えている。一〇数年後に帝国の、一人の野心家によって宇宙が統一されるなど考えられるわけがないし、口に出せば夢想以外のなにものでもない。たまたま原作の知識として俺はそれを知っているだけだし、それ以外に平和で豊か(貧乏だったけど)な世界で暮らしていた記憶もある。前世の地球では多種多様な国家があり、なにより世界中で戦争しつつも、それなりに平和だったという『経験』がある。

「君が同盟軍を率いれば、帝国との戦争に勝てる自信があるのかね?」
「いいえ、ありません」
「正直だな……なのに戦争を止めることが出来ると?」
「出来ると思います。あの要塞を落とすことが出来れば」
「あの要塞……イゼルローン要塞を、落とすというのかね?」
「ええ」
 俺の返答に、エジリは苦笑し……膝を叩き……その笑い声は次第に大きなものになっていく。俺はエジリの態度をあざ笑うことも怒ることも出来ない。原作でイゼルローンは七回目にしてようやくその所有者を替えることが出来た。それまでに六回。『イゼルローン回廊は屍を持って舗装されたり』と言われるくらいの犠牲者を出してきたのだ。今、何次かまではわからないがエジリの態度を見る限り、これまでにも要塞攻略は不可能だと思わせるだけの犠牲を払ってきたのだろう。

「なるほど。君は本当に愉快だな。まるで軍上層部の楽天主義そのものだ。正直エリートとはその位ではないと勤まらないということかもしれん」
「大佐殿はそうはお考えにならないのですか?」
「残念ながら私はそこ
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